リビングに設置していたパナソニックの55インチ液晶テレビ『VIERA TH-55CX800N』が故障。コンセントを抜き挿しすると一瞬だけ映像は映るものの、すぐに落ちてしまい電源LEDが赤点滅1回を繰り返す状態で、症状からして典型的な電源系トラブルのようです。
2015年秋に購入した製品で既に10年以上が経過していることもありメーカーに補修パーツが残っている可能性は低く、仮に修理できたとしても費用対効果を考えるとメリットは皆無。ここは素直に買い替えを決断しました。
テレビは長年パナソニック製を愛用してきましたが、最近のパナソニックは有機ELに依存しきった製品構成。同社の液晶テレビはここ数年さしたる進化がなく、競合他社に比べ1~2世代遅れであるにもかかわらず価格は高止まり。加えて、パナソニックはテレビ事業そのものの継続性すら怪しく、将来的なサポートもどうなるか不安な状態なので今回は選択肢から除外しました。
とはいえ、現状はどのメーカーを選んでも実態は中国製。もはやブランドイメージではなく、純粋にスペックと付加機能で選ぶ時代なのだと割り切って、REGZAのZ8シリーズ、65インチのタイムシフトマシン搭載4K Mini LED液晶『REGZA 65Z875R』を購入しました。
55インチでも特段の不満はありませんでしたが、世界的にはすでに70インチ前後が普及サイズということもあり、55より65インチのほうがコストパフォーマンスは明らかに良好。中上位モデルに位置づけられる本機でも延長保証込みで約23万円と、かなり現実的な価格帯だったので65インチを選んだ次第。
設置直後はインチアップに伴う圧迫感を覚えましたが、それも最初だけ。一日も経てばすっかり慣れ、ごく自然な存在になっています。
テレビとしての素性の良さ
このテレビで最初に感じるのは、Mini LEDバックライトと量子ドット技術による映像表現の優秀さ。コントラスト制御は従来のLEDのイメージを覆すほどで、明るい部分はしっかり明るく、暗部は深く沈み込みます。量子ドットによる広色域表現も優秀で、発色は鮮やかでありながらクセのない色味。特に赤や緑といった原色の純度が高く、従来の液晶では表現しきれなかった微妙な色の違いまで再現されています。

地デジやBSなどテレビ映像の処理についてもエンジンの進化が大きく貢献。解像感を無理に強調することなくノイズを抑え、自然な立体感を引き出してくれます。特に歌番組で紙吹雪が舞うような、10年前のテレビではブロックノイズが気になっていた場面もまったく気にならないレベルにまで改善されているのには驚きました。
パネル表面の反射処理も素晴らしく、画面が暗転するシーンでも室内の映り込みがほとんど気になりません。これはパナソニックのVIERAが今でも不得手とする部分で、脱パナを決めた間接的な要因の一つでもあります。
音声面では、最新規格のDolby Atmosに対応しているだけでなく、物理的なスピーカー構成の良さが光ります。最近のテレビはデザイン優先でスピーカーを見えない位置に配置しがちですが、本機は画面下部にも前面を向いたスピーカーが配置されています。

その分下側のベゼルに少し厚みがあるものの、この設計が「音の定位」の向上に大きく貢献。加えて、天井方向へ音を反射させるイネーブルドスピーカーの効果も相まって、画面を中心に立体的で厚みのある音場が広がります。
リモコンのマイクを使って測定するオーディオキャリブレーション機能も備えており、設置環境に合わせた自動調整も可能。音楽番組や映画もこれ一台で十分に楽しめる、テレビ単体としては極めて完成度の高い仕上がり。
国内最大級のオーディオビジュアルアワード「VGP 2026」で総合金賞を受賞しているのはダテじゃないな、と納得させられる完成度です。
タイムシフトマシンとアプリの快適性
REGZAが他社との差別化要素として力を入れているのが、当モデルを含む上位機種に搭載されるタイムシフトマシンです。「録画する」という意識を持たなくても複数チャンネルを自動録画し、いつでも番組を遡って見られる機能は、一度使うと離れられません。
取り急ぎタイムシフト用に外付けケースに入れた1TBのSSDを、通常録画用に同500GBのSSDをそれぞれ接続していますが、動作は極めて安定しています。
容量1TBだと6チャンネル予約設定で丸2日程度のタイムシフト録画が可能。よほどテレビ好きのご家庭であればもっと大容量の方が安心なのでしょうが、我が家のライフスタイルではこれでも十分すぎるほど実用的だと感じています。SSDを利用したこともあり操作レスポンスもきわめて軽快なので、録画された番組を見ていることすら感じさせません。
また、アプリ周りの進化も大きな驚きでした。これまでABEMAやPrime Videoを視聴する際は『Fire TV Stick 4K Max』を利用していましたが、それらの主要サービスがテレビ側に組み込まれたことで、入力を切り替えてアプリを立ち上げるという手間が一切なくなりました。これらはREGZAに合わせて最適化もされているようで、画面遷移も非常にスムーズ。操作のキビキビ感はFire TV Stick 4K MAXをはるかに凌駕しています。こうしたサービスのシームレスな体験は、日常使いにおいて大きなメリットになっていきそうです。
一方、REGZAは独自OSを採用しているため、Android TVのように任意のアプリを自由に追加することはできません。それゆえ現状ではradikoやSpotifyをテレビ単体で聴くことができなませんし、将来起こりうるVODサービスの仕様変更などへの追従性に対する一抹の不安も残ります。とはいえ、今のところ主要なサービスは概ね網羅されていますし、その動作の安定性と「テレビとしての完成度」を考えれば、汎用性よりも専用設計ならではのスピード感を優先したこの割り切りは、賢明な判断だったのだろうと感じています。
外部デバイスとの連携
画面のキャスト
スマートフォンやタブレットとの連携についても、十分に実用的なレベル。
外部デバイスから画面キャストする手段が2つ用意されており、Android端末や一部のFireタブレットなどからはMiracastに準拠する「スクリーンミラーリング」、iPhoneならば「AirPlay」を用いて手軽に画面を飛ばすことが出来ます。
手元のPCやFire Max 11、一部のAndroid端末から問題もなくキャストできることは確認できましたが、Google謹製のPixelシリーズをお使いの場合は注意が必要。PixelはMiracastがOSレベルで無効化されており、Chromecastとの組み合わせで動作する「Google Cast」にのみ対応する仕様で、そのままではミラーリングができませんが、『PigeonCast』というアプリを使えばAirPlay方式でのキャストが可能です。

この場合、解像度設定が「自動」や「2K」のままだと画面は真っ黒なままですが、「1080p」に落とせば問題なく動作。しかも、一度ペアリングしておけばPixel側でキャストを開始するだけでREGZAの入力がAirPlayに切り替わってくれます。Pixelユーザーでキャストが必要な場面は、お試しあれ。
録画番組の視聴
録画番組については、条件付きながらスマホやタブレットでも視聴可能です。
専用レコーダーではない本機は、録画番組を外部端末での視聴用にトランスコード(変換)して送出することができないため、視聴側のデバイスに「DR(MPEG-2)再生をハードウェアレベルでサポートしていること」が求められます。
動画視聴などに使われることの多いタブレットだと比較的こうした仕様に対応していることが多く、実際にFire Max 11にDTCP-IP対応クライアント「DiXiM Play」をインストールした環境にて問題もなく再生出来ることを確認できました。
リビング以外で録画番組を楽しみたい場合には、十分に実用的な選択肢になると思います。
まとめ
REGZAは現在ハイセンスグループ傘下のブランドですが、ネガティブな印象はほとんど感じません。むしろグローバルでの調達力と、日本向けの緻密なチューニングがうまく噛み合っている印象を受けます。

純正リモコンの操作性などはパナソニックに一日の長がある点は否めませんが、映像装置としての完成度やサポートの将来性を考えると、今回の選択は不可避。この先の10年、我が家のリビングの主役を任せるにふさわしい相棒となってくれるはずです。
しかし、テレビがここまで進化してしまうと、同じく10年を超えて使い続けているAVアンプ『AVR-3311DENON AVR-3311』の古さが気になるところ。最新の4K/120HzやHDR規格をフルに活かすためにも、こちらの買い替えを検討しよっかな!