「音楽ケータイ」を謳い音楽再生機能をウリにしているPanasonic製のドコモ端末『FOMA P901iS』。しかし、P901iSの音楽機能は著作権の名の下に暴利を貪る利権団体の思惑と独自規格を創り出すことで新たな利益を得たいPanasonicの意向を汲んで生まれた「SD-Audio」なる規格に沿ったガチガチの制約があるため正直わたしもウンザリさせらているのですが、MP3ファイルをminiSDカードにコピーするだけ…と思い込んでうまく再生出来ずに悩んでいらっしゃる方が居るかもしれませんのでここで簡単に手順を整理しておくことにします。
音楽再生までの手順
まずはP901iSに付属するCD-ROMに収録されている『SD-JukeBox』をWindows端末にインストール。これ以外に手段は無いのでパソコンを持っていない人やMacintoshユーザの方は残念ながら同端末での音楽再生を諦めてください…。
次に著作権保護機能対応リーダ/ライタ『BN-SDCGP3』、もしくはPCとFOMA端末を繋ぐ『FOMA USB接続ケーブル』のどちらかを購入して準備します。SD-Audio規格ではPC上の音楽ファイルをそのままコピペ…なんてもってのほかで、必ず著作権保護機能に対応した機器と専用ソフトウェア『SD-JukeBox』を使ってデータをやり取りする必要があります。PC周辺機器売り場に並んでいる一般的なリーダ/ライタを使っても正しく転送されませんので必ず専用の機能を有したリーダ/ライタを用意する必要があります…といっても、現状では同規格に対応したリーダ/ライタは『BN-SDCGP3』しかないのですがいかんせん価格も高いのでオススメしません。FOMA USB接続ケーブルでPCとP901iを接続すればP901iS自体が著作権保護機能に対応したminiSDカードリーダ/ライタとして動作するのでこちらの方法を使って先に進めることにしましょう。
先にP901iS側の「メニュー」>「設定」>「その他」>「USBモード設定」を”miniSDモード”にあらかじめ切り替えてからFOMA USB接続ケーブルでPCと接続。ドライバが導入され端末が認識されたらようやく転送準備完了。多少の予備知識が無ければ悩む人も多いかもしれませんね。
あとはSD-Jukeboxから音楽を転送するだけ。手元の音楽CDは勿論、PC上に保存しているMP3,WMA形式の音楽ファイルも一旦SD-Jukeboxのリストに追加してやることで著作権保護機能に対応した形に変換して転送してくれます。SD-Jukebox上で音楽CDをリッピングする際はCDDBからアーティスト名、曲名といった情報を自動で取得して付与してくれるなどこの辺りの使い勝手はiTunes+iPodとさほど変わりませんが、転送時に余計な変換処理が入るため転送には結構時間がかかります。転送が完了したらあとは端末側で再生するだけです。
なお、リッピング形式の初期設定は96kbpsのAAC。変更したい場合はSD-Jukebox画面上部の「設定」から表示される画面の「CD録音」「インポート」タブ内で設定可能です。ただし、P901iSに付属されているSD-Jukeboxは簡易版(Light Edition)のため、選べるのはAACかWMAのみでMP3形式の指定が出来ないのでご注意を。
ケーブルを一本購入して一度環境を整えてしまえば後はそれほど面倒ではないし、ドコモからようやく登場した音楽再生対応携帯ということで今後も活用していくつもりではいますが、心になにかひっかかるものがあることは否定できません。…まぁ、ここで愚痴ってもしょうがないですけど。
使い勝手と感想
これまでにもおまけ機能的に音楽を再生できる端末はありましたが、P901iSは正式に「音楽ケータイ」を謳うだけあって操作性はかなり向上しています。当然端末を閉じたままでも連続再生出来ますし、プレイリストやランダム/リピート再生など最低限必要な機能は備えています。
これまで主にCDからAAC(96kbps)で取り込んだものを聴いていますが、音自体はそれほど悪くはない印象。重低音を増す”S-XBSモード”や音漏れの原因となるシャカシャカ音を低減する”トレインモード”、立体感のある音で再生する”サラウンド機能”なども備えており、状況に応じた使い分けもできます。ただしホワイトノイズが酷いので自宅などの静かな環境でゆっくり音楽を楽しむような用途には不向き。通勤・通学中に利用に限定するなどある程度の割り切りは必要です。
その他に気になったのはバッテリーの消耗が早い点。片道1時間弱の通勤中に音楽を聞いているとバッテリーはギリギリ2日持つか持たないか。これはもうちょっと改善して欲しいところです。
イヤフォンは他のFOMA端末と同様に平型端子による接続となるので利用できるイヤフォンが限られるのも難点。また、平型端子のゴム製カバーが邪魔で接続する際に煩わしいのもマイナスポイント。プラスチック製のスライド式カバーなど他にやり方はあったのではなかったのでしょうか?
あと、個人的な意見ながらイヤフォン接続時に携帯本体のマイクが無効になってしまう点もなんとかして欲しいですね。市販のマイク付きイヤフォンは大抵コードが長すぎて邪魔なので、マイク無しの短い変換ケーブルを使っているのですが音楽を聴いてる最中にかかってきた電話に応答するにはいちいち本体からイヤフォンを抜かないといけません。平型端子のいずれかのピンの絶縁でイヤフォン接続時も本体マイクを有効にできるような方法があれば是非教えていただきたいものです。
気になる点を中心に書いてみましたが、「音楽は聞きたいけど手荷物は増やしたくない」という人にとっては使えなくもないと思います。私も当分の間これで通勤中に音楽を楽しむことにします。