小さな子供を抱えて居ると家でゆっくりテレビを見る時間なんぞありませんので、気になるスポーツ中継や洋画があると『nasne』(ナスネ)に録画しておいて子供を寝かしつけた後に家の片付けをして時間に余裕があれば視聴する…といった感じで辛うじて世間の流れについていってるのですが、テレビを視る気力もなくそのまま寝てしまうことも多くnasneの容量は逼迫するばかり。そこで、場所に縛られることなく空いた時間に効率良くそれらを視れたらなぁと考え「torne mobile」を導入してみました。
「torne mobile」とは
改めて説明するまでもないかもしれませんが、ご存じない方も居らっしゃるかもしれませんので念の為。
「torne mobile」はソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)より発売されているレコーダー機能搭載ネットワークストレージ『nasne』に対応したスマートフォン・タブレット用の純正アプリ。LAN内での操作は勿論のこと外出先からもnasneの操作や設定、番組予約、録画した番組の管理が可能で、別途アプリ内課金の形で提供されている「視聴再生機能」(\500)を購入すれば録画済みの番組やリアルタイムに放送中の番組も視聴可能になリます。
nasneに対応した視聴アプリはこれまでにも「Twonky Beam」や同じソニー(系列含)の「nasne ACCESS」「TV SideView」などがリリースされていますが、最後に満を持して登場した「torne mobile」はnasneに特化することで抜きん出た操作性と快適性を実現しています。
主な機能
基本機能の使い勝手は他でも沢山紹介されていますのでここでは省略しても良かったのですが、これから導入を検討している方のため主な機能だけ簡単におさらいしておくことにしましょう。
まずはメニュー画面。様々な画面サイズや解像度が存在するスマートフォンに対応するため(?)、PlayStation版「torne」では円状に配されていた機能アイコンが2列表示へと変更されています。
画面左上にはnasneのハードディスクの残量割合が表示されています。
先頭の「テレビ」はnasneのライブチューナを介して現在放送中の番組を視聴する機能。これを利用するには先述の「視聴再生機能」の購入が必要でこれについては後ほど。
「ビデオ」を開くと録画済みの番組一覧が表示されます。毎週予約の番組などはグループ化されているので、録画本数が増えても一覧がゴチャゴチャすることがありません。
ここで任意の番組をタップすれば再生開始(「視聴再生機能」の購入が必要)となるほか、長押しで削除の実行や誤って消してしまわないようロックを掛けることも可能です。
次に「番組表」。「torne」の名を冠するだけPlayStation版でのウリだったカラフルで滑らかな番組表表示はここでも健在。ドラッグやフリックすればヌルヌルとスクロールしますし、ピンチイン/アウトでの縮小・拡大もスムーズ。スマートフォンからの番組予約は「CHAN-TORU」や「TV SideView」でも可能でしたがこれらとは次元の異なる使い勝手の良さを実現しています。
ジャンルによって色分けする「ジャンルハイライト」機能のほか、全国のtorneユーザによる録画予約数「トル数」表示もしっかり継承。番組名をタップして録画予約…など、直感的な操作が可能なので機械の操作に疎いうちの嫁もすぐに使いこなせるようになり今ではせっせと子供が好きな番組を予約しています。(お陰でうちのnasneは子供向けアニメや戦隊モノで溢れかえってます…笑)
「番組検索」は文字通り任意のキーワードに合致する番組を探すためのものでこの機能自体特に目新しさはありませんが、検索ワードを入力しているそばから候補が絞りこまれてリストアップされるので結果表示で待たされることがありません。
「ランキング」は番組表にも表示されるtorneユーザによる録画予約数の多いものを確認出来る機能。別に他人が何を予約してようと関係ない…と思うこともありますが、たまに覗くと放送予定を知らなかった映画やドラマを発見出来たりして何気に便利です。
テレビ・ビデオのリモート視聴
現状、日本のデジタル放送を扱う機器はコピー防止のための様々なコンテンツ保護規格の実装が必須となっているのですが、それらの映像をネットワークを介して視聴する際に欠かせないのが「DTCP-IP」や「DTCP+」のサポート。
nasneからの映像をスマートフォンのアプリで視聴する場合もそれぞれが例外なく対応している必要があるのですが、これを実装するにはライセンス料の支払いが必要なためtorne mobileはDTCP+等の実装を無効にした状態で無償公開し、リモート視聴が必要な人はアプリ内課金で「視聴再生機能」を購入することで利用可能となる形が取られています。
視聴再生機能を購入するにはメニュー右列よりショッピングカートのアイコンをタップ。
価格は500円でGoogle Playでの決済となるのでクレジットカードを利用するか、コンビニなどでVプリカを購入しチャージしておく必要があります。
視聴再生機能は1度購入すれば同じGoogleアカウントを使用している別のスマートフォン・タブレットへもインストール可能。「購入情報の復旧」を選択すれば複数端末でライセンスを継承することが出来ます。
ライセンス購入後、メニュー画面より「テレビ」を選べばnasneのライブチューナを介した放送中の番組再生が始まります。
torne mobileでの再生映像はHDではなくnasneが同時生成しているモバイル向けのSD解像度(720×480)のものとのことですが、スマートフォンの小さな画面で見る分には十分過ぎる品質。ワンセグなんかよりも圧倒的に綺麗な映像を楽しめます。
「ビデオ」からはもちろん録画済みの番組が視聴可能。
他のDTCP+/DTCP-IP対応の汎用DLNAアプリに比べ、対象を選択してから映像が表示されるまでの画出しの早さも際立っていて非常に満足度の高い仕上がりとなっています。
外出先からのリモート視聴
さきほどは自宅ネットワークでのリモート視聴のご紹介でしたが、今度は外出先からのリモート視聴に挑戦。
外出先でリモート視聴を利用する場合、自宅に設置しているnasneと手元のスマホ・タブレットはブロードバンド回線及び3G/LTE等の携帯向けデータ回線を介して接続する形となるためリモート視聴を快適に楽しめるかどうかは回線の状況次第…ということになります。
わたしが利用しているのは自宅側回線は「IIJmioひかり」、スマホ側もMVNOの「IIJmio」。自宅側は導入時のエントリーに掲載したベンチマークの通り十分な速度が出ているので何の問題もないのですが、スマホ側のMVNO回線はこのところ速度低下が目立っていて日中は以下のような感じ。
このような状況でもうまく見れるのか恐る恐る試してみたところ…あえなく玉砕。たまたま回線が空いていたりIIJmio側が設備の増強を計った直後だったりしてほとんど途切れることなく視聴出来る日も極々稀にあるのですが、基本的には1,2秒再生しては10~15秒程度固まるといった感じで常態化しており基本的には使い物になりません。
利用者の急増もありIIJmioの下りの帯域はこのところ時間帯を問わず1~3Mbps程度しか出ないのですが、1Mbpsを下回ることはほとんどありません。nasne側の設定で「モバイル機器視聴設定」を「速度優先」にしている場合に必要な回線速度の目安は1Mbpsとされているのでこの状況であれば一応は問題ないはずなのですが…実際にはもっと余裕が必要なのかなぁ。
さいごに
満を持してリリースされたtorne mobile。AndroidTVには未だ非対応だったり、録画番組の持ち出し機能が無かったり…と個人的に気になる点もありますが、3月に登場したばかりのアプリだけに今後に期待。
外出先からのリモート視聴が回線側の都合でお預けとなった点は残念ですが、仮に視聴が自宅内に限定されたとしてもその他機能とあわせ十分な恩恵を享受出来る完成度の高いアプリとなっています。
nasneユーザの方でこれから視聴アプリの導入を検討されている方には強くオススメしたい一本です。