利用者の増加に伴う「IIJmioひかり」の相対的なサービス能力低下により、自宅の回線からまともにインターネット接続出来なくなってはや数ヶ月。通信速度は低下する一方で動画の視聴どころではありませんし、平日夜間ともなると接続そのものが不安定になりメールの閲覧にも難儀する有様。通信インフラとしてまったく使いものになっていません…。
設備増強を期待しようにもNTT側の抵抗が強くIIJmioだけでどうこう出来る問題ではない模様。他の回線事業者やプロバイダも程度の差はあれどこも似たような状況らしく、乗り換えたところで劇的な改善は見込めそうにないので別の視点からブレークスルーを図ろうとIIJmioひかりのIPoEオプションを申し込んでみました。
IPoEオプション申し込み
IPoE接続の仕組みやその優位性についてはIIJのエンジニアの方によるこちらの記事に丁寧に解説されているのでここでは省きますが、ざっくり言うと従来のPPPoE接続でボトルネックになるNTT局内の網終端装置を通さずにIPv6通信を行う接続形態。かつて「ネイティブ方式」と呼ばれていたものです。
IIJmioひかりでは同じIIJグループに属するとはいえ別会社であるインターネットマルチフィード(MFEED)社を介してサービスを提供しているので、利用にあたり月額800円の追い銭が必要。納得のいかないところも多分にありますが、今のままでは仕事にも支障をきたすので致し方ありません。
申し込みはIIJmioの会員専用ページから。
** ** 様
株式会社インターネットイニシアティブ
IPoEオプションお申し込み手続き完了のお知らせ
平素はIIJmioサービスをご利用いただき誠にありがとうございます。
IIJmioひかりのオプションサービスについて、以下のとおりお申し込みを承りま
したのでお知らせいたします。記
● 対象サービス及び情報
(1) オプションサービス
オプションサービス : IPoE
申し込み内容 : IPoEオプションのお申し込み
ご利用開始予定日 : 別途、お知らせいたします* サービスの詳細な情報は下記のIIJmioホームページにてご確認ください。
なお参照するには、mioIDとパスワードが必要ですのでご用意ください。
https://www.iijmio.jp/
以上————————————————————————
本メール及び本サービスに関し、ご不明な点等ございましたら、下記までお問い
合わせ下さい。IIJ サポートセンター (年中無休 日本時間 9:00~19:00)
TEL: 0570-09-4400
WWW: http://www.iijmio.jp/
E-mail: support@iijmio.jp* 国際電話、IP電話、みおふぉんダイアルをお使いの場合は、03-5205-4400を
ご利用下さい
* お問い合わせ時には、お客様のお名前やmioIDをお伺いする場合があります
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申し込みから利用可能になるまでには2日程度かかる模様。
** ** 様
株式会社インターネットイニシアティブ
IPv6 IPoEオプションご利用開始日確定のお知らせ
平素はIIJmioサービスをご利用いただき誠にありがとうございます。
過日、お申し込みいただいたIPoEオプションについて、下記のとおりご利用開始
日が確定しましたのでお知らせいたします。記
● サービス及び情報
(1) オプションサービス
オプションサービス : IPv6 IPoEオプション
ご利用開始日 : 2017年5月4日* サービスご利用のための各種情報などは下記のIIJmioホームページにてお知らせ
しておりますので、ご確認ください。
なお参照するには、mioIDとパスワードが必要ですのでご用意ください。
https://www.iijmio.jp/以上
————————————————————————
本メール及び本サービスに関し、ご不明な点等ございましたら、下記までお問い
合わせ下さい。IIJ サポートセンター (年中無休 日本時間 9:00~19:00)
TEL: 0570-09-4400
WWW: http://www.iijmio.jp/
E-mail: support@iijmio.jp* 国際電話、IP電話、みおふぉんダイアルをお使いの場合は、03-5205-4400を
ご利用下さい
* お問い合わせ時には、お客様のお名前やmioIDをお伺いする場合があります
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IPoE接続の利用に際し、PCやホームゲートウェイなどへの設定は一切不要です。
利用開始日以降IPv6スピードテストで通信速度をしばらくチェックしていますが、平日夜間でも大きな落ち込みはなく概ね200~400Mbpsで推移。素晴らしい。
この勢いでMFEEDのIPoEオプションがサポートする「DS-Lite」(RFC6333 Dual-Stack Lite)でIPv4側もサクッと高速化したいところですが、IPv4パケットをIPv6でカプセル化する特殊な通信方式だけあって貸与されているひかり電話対応ホームゲートウェイ(HGW)『PR-500KI』は非対応。手持ちの『Archer C7 AC1750』にカスタムファームウェア「OpenWRT」を入れればDS-Liteを通せそうではあるもののスループットが厳しそうなので、新たなルータを別途用意することにしました。
ヤマハのギガアクセスVoIPルータ『NVR510』
現時点でDS-Liteに対応する機器はそれほど多くありません。バッファローあたりが個人向けの製品をいくつかラインナップしているものの実用に耐えないとの報告が多いので、今回は実績のあるヤマハの業務用ルータの中からギガアクセスVoIPルータ『NVR510』を選択。
根強い人気を誇る『NVR500』の後継モデルとしてスループットの向上やNATセッション数の拡大など時流に則した仕様変更が図られた同製品。基本性能もさることながら、ひかり電話に対応したVoIPアダプタ内蔵によりPR-500KIを置き換えることが出来る点にも惹かれました。
購入価格は約38,000円。決して安い買い物ではありませんが、ヤマハのルータでこの値段で手に入るのなら安いもの。
内容物は本体のほか電源アダプター、縦置きスタンド、取扱説明書等の冊子と各種マニュアルを収めたCD-ROMなど。
サイズは幅・奥行・高さともPR-500KIよりコンパクト。筐体はプラスチック製ですが、チープな感じはありません。
緑のテープで固定された背面ポートは小型ONUを挿入するためのもの。SFPインターフェースに対応した小型ONUをNVR510に直挿しすることで省スペースな設置が可能…というのがウリなんですが、NTT西日本エリアでは小型ONUが提供されていない(くっそ、さっさと東西統合すればいいのに)のでNVR510側のWANポートとONUをLANケーブルで繋いで利用する必要があります。
PR-500KIは早々に返却して単体ONUに交換してもらうつもりですが、それまではPR-500KIに内蔵されたONU部だけを利用します。
PR-500KIは背面のカバーを外した場所にある「UNIポート」で下部のONU装置と上部のルータが接続されているので、これを外して別途用意したLANケーブルで繋ぐだけ。
あとはNASや無線APに繋がるLANケーブルや電話機をNVR510側に繋ぎなおせば準備完了です。
NVR510へのIPoE + DS-Lite接続設定
手始めにPCとNVR510をLANケーブルで繋いで初期設定。
工場出荷時の状態だと http://setup.netvolante.jp か http://192.168.100.1/ でWeb GUIに繋がります。認証用の「ユーザー名」「パスワード」はともに空欄のままでOK。
過去に扱ったことのある『SRT100』や『FWX120』とはGUIがだいぶ異なりますが、特に迷うことはないでしょう。
手始めに自宅の環境にあわせてNVR510自身のIPとDHCPの割当範囲を設定。次に「かんたん設定」からひかり電話の設定を行いましたが、拍子抜けするほどあっさり開通。
残るはインターネット接続設定。先ほどひかり電話の設定を行った際に自動設定された?のか、Configを確認すると既にIPoEの設定が追加されておりIPv6通信が可能な状態になっていましたが、ここにIPv4を流すためのDS-Liteの設定を加えるにはコマンドからの操作が必要。ひかり電話を契約している場合(DHCPv6-PD)としてない場合(RAプロキシ)とで設定内容が微妙に異なるらしく最初は悩みましたが、結論から言うとMFEEDが公開しているNVR500用の設定例がそっくりそのまま利用出来ました。
ひかり電話を契約している場合のIPoE + DS-Liteな設定は下記のとおり。
ip route default gateway tunnel 1
ipv6 route default gateway dhcp lan2
ipv6 prefix 1 dhcp-prefix@lan2::/64
ipv6 lan1 address dhcp-prefix@lan2::1/64
ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on
ipv6 lan1 dhcp service server
ipv6 lan2 address dhcp
ipv6 lan2 dhcp service client
ngn type lan2 ntt
tunnel select 1
tunnel encapsulation ipip
tunnel endpoint address [AFTR ADDRESS]
tunnel enable 1
dns server dhcp lan2
ひかり電話を契約していなければこう。
ip route default gateway tunnel 1
ipv6 prefix 1 ra-prefix@lan2::/64
ipv6 lan1 prefix ra-prefix@lan2::/64
ipv6 lan1 rtadv send 1
ipv6 lan2 address auto
ipv6 lan2 dhcp service client ir=on
tunnel select 1
tunnel encapsulation ipip
tunnel endpoint address [AFTR ADDRESS]
tunnel enable 1
dns server dhcp lan2
各コマンド内の「AFTR ADDRESS」は居住エリアに応じて以下のいずれかの値に置き換えて実行すればOK。
【NTT東日本エリア】
2404:8e00::feed:100
2404:8e00::feed:101【NTT西日本エリア】
2404:8e01::feed:100
2404:8e01::feed:101
無事IPv4通信が出来るようになったことを確認した後、さっそく通信速度を計測してみると…ネットが混雑する時間帯にもかかわらずまさかの300Mbps超え!!
これまで紙芝居状態で夜間まともに視聴の出来なかったDAZNやAbemaTVは勿論、Amazon ビデオの4K動画まで普通に見れる…。VPNを経由したお客さんとのファイルのやりとりも快適そのもの。凄ぇよ、凄すぎるよ…!!
これなら初期投資と設定の苦労に見合うだけの価値もあろうというもの。何事もトライしてみるものですね。