富山県警山岳警備隊が開発に関わり、2000年頃にリリースされたノースフェースの冬山用ハードシェル『マウンテンレスキュージャケット』。
購入からまもなく20年近くが経過しようというのに未だ目立った劣化もなくその耐久性の高さには感動すら覚えますが、唯一の泣き所はシームテープ。粘着材はどうしても経時劣化してしまうので10年ほど前にも一度貼り替えてもらっているのですが、今シーズンに入ってまた一気に剥がれはじめました。
本格的なウェア製造から手を引いて久しいゴールドウィンではもはやこうした修理に対応出来ないとのことだったので、山仲間に紹介してもらった業者さんに相談してみたのですがこちらは繁忙期のためかなり時間を要するとのこと。この春、残雪期の山に分け入る予定もないのでそのまま預けてきても良かったのですが、「数年おきに必要になる作業だしそんなに難しくもないので、この際自分でやってみては?」と提案され、今回はDIYしてみることにしました。
修理にあたって用意したのは交換用のシームテープ『シーリングテープ トリコットタイプ』とmont-bell『GORE-TEX パーマネントリペアシート』の2点。
前者は縫い目沿って、後者はブランドロゴの刺繍裏に使用。どちらもアイロンを利用して熱融着させるものなので、アイロンや当て布(ハンカチやバンダナなど薄めの生地のものが扱いやすいと思います)も別途必要になります。
まずは古いシームテープを綺麗に剥がしていきます。この際、まだしっかりと貼り付いている部分まで引き剥がそうとすると生地を痛めてしまうので無理は禁物。生地に残った古い糊跡は指先で擦るなどして可能な範囲で取り除いておくと良いでしょう。
後は当て布の上から中温程度に熱したアイロンを当て新しいシームテープを貼り付けていくだけ。多少ズレてもアイロンを当てた直後であれば貼り直しが可能。今回使用したトリコット地のシームテープは伸縮性があり、曲線部も比較的施行しやすかったです。
当て布は生地に残った古い糊や新たに施行するシームテープからはみ出た粘着成分が付着してすぐにカピカピになってしまい、そのまま作業を続けると関係のない部分に糊が移ったりするので数枚用意して作業すると良いでしょう。
シームテープは施行後数時間で粘着成分がしっかり固まっていい感じに仕上がります。
なお、今回の作業で使用したシームテープはおよそ20m弱。パウダーカフやベンチレーションを備えたこの手の高機能ジャケットは縫製箇所も多いため、当初購入しておいた10mでは全然足りませんでした。上下とも作業する場合は最低でも30mは用意しておいた方が良いでしょう。