2009年に購入したHPのプロフェッショナル向け液晶モニタ『HP LP2475w』を13年近くもの長きに渡って愛用してきましたが、24インチでは少々手狭になってきたことに加え、ケーブルを隠蔽する樹脂パーツが硬化して一部欠損するなど経年劣化も否めなくなってきたので、プライムデーの際にスタンプラリーでゲットした50,000円分のAmazonポイントも元手に新しいモニターを購入することにしました。
買い替えの検討にあたってはハードウェアキャリブレーション対応とまではいかなくても現像作業に耐えうる色忠実度を備えた製品であることや、27インチ以上の4K液晶でベゼルが狭くメーカーロゴが目障りでないことなどを条件に掲げ、最終的にチョイスしたのがDellの27インチ 4K モニター『Dell U2720QM』。
同製品は販路をAmazonに限定した専売モデルですが、付属するケーブルが一部異なるのみ(HDMIかDisplayPortか)でモニターそのものはDell直販の『Dell U2720Q』と同じ物。
Dellのモニター製品群の中でも型番の先頭に「U」を冠するラインナップはハイエンドと位置づけられているだけに、先のブラックフライデーセールでも5万円をようやく下回る程度の決して安くない買い物ですが…その真価やいかに。
開封の儀
注文からおよそ1週間、巨大な荷物がヤマト便で送られてきました。
モニターのような大きな商品は外装に直接伝票を貼って届けられるのが普通ですが、今回外箱はなるべく綺麗な状態で残しておきたかったのでギフト包装指定で注文しておいたら思いのほかデカかったです。(笑)
開梱しラッピングを解いて出てきたパッケージ。
奥行きはコンパクトですが、27型のモニターが納められているだけあってそれなりのサイズ感。
パッケージの中は二段構成になっていて、上段にはスタンドの台座部分とHDMI、USB CtoC、USB CtoAの各種ケーブル、それに冊子類。下段にはモニター本体、上下段を通貫する形で設けられた右端のスペースにスタンドの支柱部分と電源ケーブルが納められています。
冊子類では取扱説明書とは別に工場出荷時に実施された個別のキャリブレーション結果を記した出荷時較正レポートが添付されています。
本来、キャリブレーションは使用する環境やバックライトの経年劣化なども踏まえながら定期的に実施すべきものではありますが、箱から出してすぐに信頼性の高いイメージが確認出来る点は大変評価出来ます。このあたりの配慮は、さすがハイエンドといった感じ。
付属品を取り出したらまずはスタンドを組み立て。
台座裏にあるネジを締めるだけで支柱をガタツキなくしっかり固定することが出来ます。ネジは手で締めることが出来るので工具類は不要です。
パッケージ下段に収められた状態のモニター本体の取り付け部にスタンドをあてがい、ガチャンと音がするまでしっかり嵌め込んだらそのまま持ち上げるだけ。
組み立て作業は簡単で5分とかかりません。
最後に液晶面を覆う保護シートを外せば準備は完了。
今時のモニター製品らしく狭ベゼルなので27インチの割にそこまでの威圧感はありません。また、ベゼル部と液晶面は段差のなく”ツライチ”で見た目も良くお手入れも楽そう。
背面も至ってシンプル。
背面に用意されたインターフェースは左から順にDisplayPort 1.4、HDMI 2.0、USB Type-C、AUX オーディオラインアウト、それからダウンストリーム用にStandard-AのUSB 3.0ポートが2つ。
中央のUSB Type-Cポートはケーブル一本でDisplayPort 1.4相当の映像入力、最大90Wの電力供給も可能な優れもの。DP ALTモードやUSB PDに対応した対応端末と組み合わせればゴチャゴチャしがちなモニター回りの配線をすっきりさせることが出来ます。
サイドにも普段使いに便利なUSBポート(Standard-A & Type-C)を装備。スマホの充電などで重宝してくれそうです。
十年一昔
参考までに、かつてハイエンドモニターとして名を馳せた『HP LP2475w』との比較を交えつつU2720QMのスペックをチェックしておくことにします。
Dell U2720QM | HP LP2475w | |
---|---|---|
メーカー | Dell | HP |
国内発売日 | 2020年4月 | 2008年8月 |
パネル | 24インチ IPS | 27インチ IPS |
バックライト | LED | CCFL |
解像度 | 3,840 x 2,160 (4K) | 1,920 x 1,200 (WUXGA) |
輝度 | 350 cd/m² | 400 cd/m² |
応答速度 | 8ms (GTG 標準)、5ms(GTG 高速) | 12ms、6ms (GTG) |
コントラスト比 | 1300:1 | 1000:1 |
最大表示色 | 10.7億色 (10bit) | 1,677万色 (8bit) |
消費電力 | 標準 33W 最大200W スタンバイ 0.3W スリープ 0.3W | 標準 75W 最大120W スタンバイ 2W 待機 1W |
インターフェース | DisplayPort 1.4 x1 HDMI 2.0 (CEC) x1 USB 3.1 Type-C (アップストリーム/DP 1.4/90W給電) USB 3.0 Standard-A(ダウンストリーム) x2 USB 3.0 Type-C(ダウンストリーム) x1 AUX オーディオラインアウト | DVI-I x2 HDMI 1.3 x1 DisplayPort 1.1 x1 Component Video x1 S-Video x1 コンポジットビデオ x1 USB 2.0 Standard-A(アップストリーム) x1 USB 2.0 Standard-A(ダウンストリーム) x6 SPDIF 同軸 |
こうして見るとLP2475wの素性も案外悪くなかったりするのですが、当時は一般的だったCCFLをバックライトに利用しているため消費電力が無駄に大きかったり、現像作業を行ううえでの解像度や最大表示色の限界は如何ともしがたく。
また、LP2475wは実用性の観点でも映像入力のインターフェースが大充実している一方で音声出力はSPDIF 同軸のみというツンデレ仕様に加え、映像入力切り替え時の動きも緩慢すぎて使い勝手が悪くストレスも溜まる…といった状態だったので、主力として使うにはここらが限界だったのは間違いありません。
一方のU2720QMはさすがに今時な仕様。ワークステーション的なクリエイティブな用途はもちろんのこと、マルチメディア目的でも十分な活躍をしてくれそうです。
モニターの世代の違いは本体サイズにも如実に表れます。写真左が27インチのU2720QMで右が24インチのLP2475wですが、液晶本体部の高さはU2720QMの方が狭ベゼルな分僅かにコンパクト。
また、最もインパクトが大きいのは奥行きの違い。
LP2475wは最背面から液晶面まで20cm近くあったため、やむを得ず奥行きの浅い書斎デスクの角に設置していたのですが、U2720QMは液晶面までが12cmほど。スタンドの台座もフラットで邪魔にならないので念願の正面設置が可能となりました。
別途キーボードを使用する必要はあるものの作業効率は大幅UP。対応PCとの組み合わせで配線もスッキりしますし、QoLも爆上がりです。
まとめ
これまでも4K液晶搭載ノートをメインで使用してきているうえLP2475wも色再現性に於いて大変優秀なモニターだったので、自分の中でモニターの買い替えの優先順は実はそこまで高くなかったのですが、U2720QMを実際に使ってみて「なんでもっと早くに買い替えなかったんだ」とこれまでの自分の判断を激しく恨むことに…。
やはり4Kという高精細なスペックはこのくらいのサイズ感があってこそはじめて生きてきます。文字も読みやすく、写真も動画もきれいで作業領域も広くて快適。スリープからの復帰も爆速で、現時点で何も言うことはありません。
息抜きに遊ぶ程度であればゲームでの使用も何ら問題ない…どころか、4Kレベルの解像度があればジャギー低減のアンチエイリアスも最低限で済むため、以前より快適により美しい映像を楽しめる可能性も。お試しで『Dirt Rally 2.0』を少しだけプレイしてみましたが、今までとはまるで別物のゲームのよう。
半導体不足に加え、日本の相対的な所得低下の影響もありあらゆる物が値上がり傾向にある中で、この品質・スペックでこの価格を実現しているU2720QMは正直言って異常。ちょっとでも気になっているのなら、とっとと入手してしまうことを強くおススメします。