15年分の進化の衝撃。『DENON AVR-X2800H』導入記

デノン Denon AVR-X2800H 7.2ch AVサラウンドレシーバー 8K Ultra HD、HDR10+、 eARC対応/ブラック AVR-X2800HK我が家のリビングオーディオの核として15年にわたり鎮座してきたAVアンプ『DENON AVR-3311』を、『​DENON AVR-X2800H』へとリプレイスしました。

​買い替えの背景にはいくつかの理由がありますが、最大の要因はオーディオの潮流の変化にあります。主流がCDやBD/DVDといったディスクメディアからデジタル配信へと変遷する中で、求められる資質も「アナログ的な馬力」から、最新フォーマットへの対応力や「シャープな音像・高い分解能」へとシフト。15年落ちのDACやDSPでは、もはや現代の音源に太刀打ちできない状況に陥っていました。

​さらに、ハードウェアの寿命も一因です。2010年代前半のデノン製AVアンプは、もともとマイコンの不具合を抱えていたため動作は不安定でしたが、最近は設定変更すら難しいほどフリーズが頻発。加えて、先日テレビを買い替えたことで、HDMI規格などの「世代間の断絶」を痛感させられたことも、背中を押す大きなきっかけとなりました。

​機種選定にあたっては、マイナーチェンジ後の最新機種『AVC-X2850H』や上位モデル『AVR-X3800H』も比較検討しましたが、一生モノになり得るピュアオーディオの世界とは異なり、規格の進化が激しいAVアンプはある種の「消耗品」。AVR-3311を長く使用した教訓から、計画的な更新も視野にコスパを意識した買い替えが賢明だと判断。型落ちで価格がこなれていたミドルエントリー機「X2800H」を選んだ次第です。


外観比較とセットアップ

​Amazon.co.jpでの注文から3日、本体外観がプリントされた小洒落たデザインの梱包が到着。

AVR-X2800Hの梱包

​配送はAmazonの契約業者でしたが、幸い梱包に損傷はなく一安心。ワクワクを抑えきれず、さっそく開梱します。最もテンションの上がる瞬間ですね。

開梱

​付属品のリモコンや冊子類を取り出し、保護シートに包まれた本体をアンベイル。

AVR-X2800Hとご対面

左右に2つのダイヤルを備えた、デノン伝統の精悍なデザインとご対面です。

​せっかくなので、お役御免となるAVR-3311と外観を比較してみました。(下段が3311、上段がX2800H)

フロント比較

​幅は同サイズ、高さはインシュレーターの厚みの分だけ3311が大きいものの、本体そのもののサイズ感は変わりません。フロントパネルのデザインコンセプトは不変ですが、X2800Hの方が艶のある仕上げになっています。

​一方、背面は劇的な変化を遂げています。

背面比較

もはや使われることのないD端子やSビデオ端子などのアナログ映像入力が撤廃され、スピーカー端子も下部に横一列で配置されたことにより、随分とすっきりした印象になっています。今見ると3311の背面はまさに「ハチの巣」。ポートの多さは汎用性という意味では魅力的でしたが、結局買い替えまでに一度も使わなかったポートがほとんどでしたね…(苦笑)。

​電源ケーブルは、3311が着脱可能なIEC端子だったのに対し、X2800Hは本体からの直出し。IECの方が間違いなく高級感がありますが、電源ケーブルもこだわりだしたらキリがありませんからね…。

​横からの比較では、X2800H(アンテナ未装着時)の方が奥行きが5cmほど短くなっています。

側面比較

3311ではローボード裏の配線がギチギチで苦労していましたが、これなら余裕を持ったケーブリングができそうです。

​付属品は、本体背面に取り付ける無線LAN/Bluetooth兼用のアンテナx2本、FM及びAM用のアンテナ、専用リモコン、乾電池(単4×2)、音場調整用のマイク、マイクを設置するための紙製スタンド、そしてスタートガイドなどの冊子類。3311に付属していたような詳細なマニュアルは同梱されておらず、ウェブで確認する現代的なスタイルです。

付属品

​せっかくなのでリモコンも新旧並べて比較。

リモコン

​こちらも使用頻度の低いボタンが廃止され、随分と垢抜けた雰囲気へと変貌を遂げています。

​外観チェックと付属品の確認を終えたら、X2800Hをローボードに収めてケーブル類を接続。このタイミングで、テレビと繋ぐHDMIケーブルも従来の1.4a対応品から、別途用意しておいたUltra High Speedを謳う2.1対応品へと交換しておきました。

​テレビ側でeARCを有効に切り替えたら電源を投入し、初期セットアップを開始。英語表記のみでドットも粗かった3311の画面とは対照的に、X2800Hはグラフィカルで日本語にも対応したGUIへと大きな進化を遂げています。

セットアップ

​画面上ではスピーカーの結線方法まで丁寧にガイドされますが、素直にこれに従うとアンプの電源を入れたままケーブルを繋ぐことになるため、「これはスタートガイドや取扱説明書に書いておくべき内容では?」と思わずツッコミ。紙のマニュアルを簡略化した弊害が現れた結果なのかもしれませんが、盲目的に従って機器を壊す人が出ないことを祈るばかりです…。

​なお、初期セットアップの途中で音場補正技術「Audyssey MultEQ XT」による計測を指示されますが、ここではスキップ。

​というのも、接続するスピーカーに合わせた「インピーダンス設定」は初期セットアップ後でないと行えないらしく、このタイミングで実施しても正確な計測が行えなかったり、アンプに余計な負荷がかかったりしてしまうため。初期セットアップを一旦終わらせた後、インピーダンス設定を初期値の8Ωからわが家のスピーカー(SC-55シリーズ)にあわせた6Ωに変更。その後、改めて専用マイクを繋いで計測を実施し、ようやく利用準備完了です。

​ちなみに、「インピーダンス設定」はウェブから取得する取扱説明書にしか記載されていないようなので、その存在を知らないまま使っている人も少なくないと思われます。このあたりはセットアップ手順やスタートガイドの改善が必要なのかもしれません。

​気になる点はさておき、新しいAVアンプを迎え入れたことでわが家のAV環境がどう生まれ変わるのか、期待は高まるばかりです。

試聴インプレッション

​セットアップを終え、いよいよ実聴へと移ります。音の感想の前に、まずは「使い勝手」の変化について。

​初期セットアップ中に導入を求められるデノン/マランツのネットワークプラットフォーム「HEOS」ですが、これがもたらす音楽体験は、まさにストリーミング時代の利便性を体現。音楽再生へのハードルが圧倒的に下がったことに劇的な変化を感じます。

HEOSアプリ

​HEOSアプリを使えば、TuneInを介して世界中のインターネットラジオをアンプから直接ストリーミングでき、Amazon Musicのプレイリスト再生も可能。気分に合わせてBGMを流しっぱなしにするような使い方に最適ですし、NAS内のFLAC音源を選択するのも極めてスムーズ。SpotifyもSpotify Connect対応なので、スマホアプリから出力先を切り替えるだけでシームレスに再生が始まります。この快適さには、文字通り隔世の感を禁じ得ません。

​3311も一応はネットワーク対応を謳っており、インターネットラジオの視聴自体は可能でしたが、メモリが少なすぎたためバッファリングが頻発し実用には程遠い状態でした。これらが「当たり前のこと」としてストレスなく聴けるようになっただけでも、乗り換えた価値があったというものです。

​肝心の音質については、主にFLAC音源を試聴した感想ですが、3311時代に感じていた解像度の限界が取り払われたかのように、音の分離感が格段に向上。透明感が増してボーカルの輪郭が鮮明に再現される様に、DACの進化をまざまざと見せつけられた気分です。プリアンプやボリューム回路の純粋な改善も効いているようで、アナログ的な音のパワフルさについても3311から「劣った」と感じる部分は見当たりませんでした。

​サラウンド再生については、テレビ内蔵のPrime Videoアプリから「Dolby Atmos」対応コンテンツを試聴することで確認。

​従来の「Dolby Digital」も決して悪くはないと思っていたのですが、Atmosの音場はより立体的で臨場感抜群。かといって演出がわざとらしいわけではなく、音の密度も濃いので没入感が凄まじいです。海辺のシーンでは部屋全体が波音に包まれ、まるで渚に立っているかのような錯覚に陥るほど。

​また、ステレオ音源のマルチチャンネル再生も、かつての「Dolby Pro Logic II」などとは別次元の仕上がり。「Dolby Surround」や「DTS Virtual:X」では、十分に実用に耐えうるクオリティが担保されています。

​デノン独自の「Multi Ch Stereo」再生も、3311で見られたエコーがかったような不自然さが解消され、X2800Hでは「普段の音楽鑑賞はこれで十分かも」と思わせるほど。ピュアオーディオ的な解釈では邪道かもしれませんが、旧来の音源に新たな発見を見出す、新しい楽しみ方になりそうです。

まとめ

​AVアンプとしては長すぎたとも言える15年。さすがに時間をかけすぎた感もありますが、その長いブランクがあったからこそ、これほどまでの感動をもって進化を迎えられたのかもしれません。

​今回痛感したのは、現代のAVアンプがもはや単なる「音を増幅するだけの機械」ではないということ。ストリーミングや最新サラウンドといった膨大なデジタルコンテンツを縦横無尽に交通整理し、最適な形で届けてくれる「インテリジェントな司令塔」へとその役割を変えているのです。

​この新しい相棒と共に、かつて観た映画や聴き慣れた音楽を改めて掘り起こしていくのが、当面の大きな楽しみになりそうです。

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