自宅で利用しているノートPC『HP Pavilion Gaming 15』も2019年春の購入から6年が経過。技術の進化に伴う相対的な性能低下が気になっていたことに加え、昨今の物価高騰で端末価格の上昇が今後も続くことが見込まれるため、このタイミングでの買い替えを決断。熟考の末、HP Directplusのセールでお求めやすくなっていた『HP OMEN 16 パフォーマンスプラスモデル』(2024年モデル/16-wf1004TX)を入手しました。
自宅でのPCの用途は撮影画像の現像や編集、デザイン、開発などのクリエイティブワークが主ですが、最近は専用のGPUを積んだワークステーション端末でないと作業に不自由する…といった場面に遭遇する機会も減少。そのため、今回も費用対効果に優れるゲーミングPCからの選択となりました。
OMENシリーズはHPのゲーミングPCの中でも上位に位置する製品で、今回入手した「パフォーマンスプラスモデル」のスペックは以下の通り。
HP OMEN 16(2024年モデル/16-wf1004TX) | |
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OS | Windows 11 Home (64bit) |
CPU | Intel Core i7-14700HX (20コア(P8+E12)/28 スレッド/最大5.5GHz) |
チップセット | Intel HM770 |
メモリ | 32GB (16GBx2) DDR5-5600MHz |
ストレージ | 1TB SSD (PCIe Gen4x4 NVMe M.2) |
webカメラ | HP True Vision 1080p フルHD Webcam (約207万画素) |
有線LAN | 内蔵Gigabit LAN |
無線LAN | IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6E) |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
グラフィック | NVIDIA GeForce RTX 4070 (GDDR6 8GB) |
ディスプレイ | 16.1インチワイド・QHD 非光沢・IPSディスプレイ (2240Hz / 560×1440 / 最大1677万色 / 300nits) |
バッテリー | リチウムイオンバッテリ(6セル) |
価格は3年保証込みで約25万円。
最新のGeForce 5000番台GPU搭載モデルも登場し始めていますが、まだ価格は高く選択肢も少ない状況。そのため、執筆時点でアッパーミドルクラスに於ける現実的且つ理想的な選択肢と言えるでしょう。
開封&外観チェック
もともとHPは納期までに比較的時間を要するメーカーですが、今回は注文から到着までに3週間強といつも以上に時間を要しました。年度替りでの注文だったことに加え、トランプさんによる関税政策の発表を受けて駆け込みオーダーが集中したのも要因かもしれません。
ヤマト運輸により届けられた商品は白い背景に赤いOMENのロゴがデザインされた化粧箱仕様。
伝票は化粧箱に直接貼られてくるため、キレイに剥がそうにもしっかり痕が残ってしまう点はやや残念。箱も保存したい派には気になるところです。
化粧箱の蓋を開けると黒い不織布に収められた本体、保証書、ACアダプタなどを収めたスペースを確認できます。
本体以外の梱包品はACアダプター、電源コード、保証書等の冊子類。余計なものは一切含まれず、割り切った構成となっています。
本体外観。落ち着いた「シャドウブラック」の背景にOMENの文字が配されただけのシンプルなデザインとなっています。
一般的に派手な見た目のイメージが強いゲーミングPCですが、こちらは派手さを抑えた見た目で、ビジネスシーンにも違和感なく持ち込めそうです。
端末の左側面にはThunderbolt 4 (USB4)対応のUSB Type-Cポート(40Gbps)が2つと3.5mmのヘッドホン出力/マイク入力兼用のコンボジャックが配置。
右側面はUSB Standard-A (5Gbps)ポートがひとつのみ。端末右側にインターフェースが多いと、周辺機器を繋いだときにマウス操作の邪魔になるのでこの設計は好印象。
背面にはUSB Standard-A (5Gbps)、HDMI 2.1、有線LAN、電源コネクタが各1ポートずつ。
裏面は高性能なCPU/GPUを効率よく冷却するための吸気口が大胆に…と言いたいところですが、実際に内部まで通じているのは中央と左右1か所ずつで開口部はそれほど大きくはありません。
端末を開くと現れる16インチの液晶は映り込みが少なく視認性の高いノングレア(非光沢)タイプ。
一般的な15インチのノートと比べると随分広く感じますが、左右のベゼルの幅はかなりタイトなので、筐体サイズは一般的な15インチノートと大差はありません。
キーボードはテンキーを省いたフルサイズ配列。スペースキー周りのキー配置にも余裕があるのでタイプミスも減らせそうです。
バックライト対応で、好みに応じたカラー設定が可能。控えめに白一色で使えば落ち着いた印象になります。
付属のACアダプタは280W出力に対応した大容量タイプ。
ハイスペックな仕様に対応するため仕方のないことですが、第一印象は「デカっ」…(苦笑)。Pavilion Gamingに付属していたACアダプタも150W対応で大ぶりでしたが、それをゆうに上回るサイズです。
ACアダプタにつなぐ電源コードは3ピン仕様。通常のコンセントで使用する際は別途変換アダプタを用意するなどしておく必要があるので注意が必要です。
インプレッションとベンチマーク
さっそく電源を入れてセットアップを実施。導入OSはWindows 11 Homeでバージョン24H2が適用された状態でしたが、「逸般の誤家庭」である我が家ではドメインに参加出来ないHomeエディションの端末はご遠慮願っているため、手持ちのプロダクトキーを使って真っ先にProへアップグレード。
プリインストールされていたアプリのうち削除必須なのはマカフィー程度。OMENシリーズ専用の「OMEN Gaming Hub」などはオーバークロック等で必要になるのでそのまま残しておきます。
その後、BIOS、ドライバーを最新化、Windowsアップデートも済ませたうえで以下のファーストインプレッションを確認。
搭載されている16インチIPS液晶の解像度はQHD(2560×1440)。Pavilion Gamingが4K液晶だったので、ここは気になるポイントでしたが15~16インチクラスであればQHDでも何の問題もなく、クリエイティブ用途にも十分に耐えうるクオリティ。輝度・発色に関しても何ら文句はありません。
次いでストレージ性能。デバイスマネージャーによるとCドライブとして利用されている1TBのNVMe M.2ドライブはKIOXIA製の「KXG80ZNV1T02」。Crystal Disk MarkにかけてみたところPCIe Gen4x4の本領発揮でかなり良い数値を叩き出しています。
続いてCPU性能のベンチマーク。特段端末の設定は弄らずに、CINEBENCHを実行。
CINEBENCH R20 CPU | 7,783 |
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CINEBENCH R24 CPU(Multi Core) | 919 |
ちなみに、Core i7-8750Hを積んだPavilion GamingでR20が2,166、R24が333だったので約3~3.5倍の差。思った以上に開きがありました。
最後に参考程度に3Dのベンチマークでも…と思いましたが、3DMarkシリーズが今や主流ではなくなってしまっているようでたいして参考にならなくなっているようなので、代わりに「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を実施。
設定を変更すればさらなる数値の改善も見込めそうですが、高負荷になるとファンの音もかなりうるさくなる様子。これ以上スコアを追い込むことはしませんでしたが、高負荷なゲームでもやるときはそれなりに騒音を覚悟しておいた方が良さそうです。
分解と拡張
ストレージの増設作業も兼ねて端末内部の構造を確認しておきます。
内部基板へアクセスするには本体を裏返して置き、8箇所のネジを外して裏面パネルを剥がすだけ…なのですが、同端末の裏面パネルは指をかけるような部分がなく道具無しでの対応はおそらく不可能。
LANポートのコネクタカバーの可動部が唯一とっかかりになりそうなので、ここに先端がL字になったプラスチックのヘラをひっかけて引っ張り上げるなどすると傷を付けずに裏面パネルを剥がせると思います。
内部はなかなかの込み具合。
中央やや右寄りに位置するのがDDR5-5600なメモリ。左右に見えるシルバーのプレートがNVMe M.2ドライブ用の冷却パネルで、この下にNVMe M.2スロットが位置します。
左側には初期装着のSSDがあらかじめ取り付けられているため、増設は冷却パネルだけの空きスロットになっている右側に取り付けます。ここには前の端末でブートドライブとして使用していた『Samsung 980 PRO』をセット。
裏面パネルを組み戻した後、Crystal Disk Markで転送速度を確認。
これまではPCIe Gen3な環境で実力を発揮出来ないでいましたが、ようやくPCIe Gen4.0x4の本領発揮となりました。
まとめ
6年ぶりの買い替えで我が家にやってきたHP OMEN 16。
性能も大幅に向上していてクリエイティブワークはもちろん、最新のゲームタイトルもストレスなく楽しめる十分なスペックを備えており、全体的に満足度の高い一台です。
唯一のデメリットはやはり重量と大型ACアダプターによる携帯性の低さでしょう。約2.4kgの本体と大きめのACアダプターは、頻繁な持ち運びには向きません。また、高負荷時のファンノイズもある程度は覚悟しておく必要がありますが、半据え置きの端末として移動も自宅内などに限定出来るようであれば、個性的且つ性能重視のラップトップとしておすすめできる製品です。
クリエイティブワークやビジネス用途はもちろん、息抜きのゲームなどの利用にも耐えうるマルチパーパスなノートPCとして、今後の数年を共に過ごすメインマシンとして活躍してくもらいましょう。