小型ONUへの交換でNVR510をスマートに使う

リモートの定常化に伴ってネットワーク負荷が増大し続ける中にあっても、自宅の環境はヤマハのギガアクセスVoIPルータ『NVR510』やシスコの『Meraki Go アクセスポイント(GR10)』のおかげでトラブル知らずですが、唯一不安材料となっていたのが光回線との接点にあたるホームゲートウェイの存在。

契約中の「IIJmioひかり」を介してNTTから払い出されているホームゲートウェイ『PR-500KI』はUNIポート直結でONU部のみ利用しているものの、ハードの寿命なのか何なのか昨年春に謎の障害を起こして以来いまひとつ調子がよろしくなかったうえ、無駄に大きく嵩張る筐体や消費電力の大きさも気になっていたのでこのタイミングでNVR510に直接収容可能な小型ONUに交換してもらうことにしました。

実を言うと2019年頃にも交換を依頼したことがあったのですが、当時はIIJmioが「払い出し機器の指定は出来ない」の一点張り。しかし、後に方針が変わったようで公式Twitterアカウントでも「小型ONUは提供可能です」との発言がなされていたこともあり今回はスムーズに受け入れて貰えました。

小型ONUへの切り替えに際しては通常立ち合い工事が必要らしく、同ONUを収納可能なホームゲートウェイを新たに設置し導通まで行った後「あとはそちらの責任で小型ONUを抜いて使ってくれ。ホームゲートウェイ本体はきちんと保管しといてね。」という形をとるケースが一般的なようですが、今回うちに来られた業者の方は「小型ONUを扱うのがはじめて」だそうで小型ONUだけを持参。そのため、「逆に工事費請求したろうかな…」と思いつつ急場でNVR510の設定を変更、接続確認を行ってもらい作業終了。

NVR510と小型ONU

小型ONUに交換したところで回線速度が速くなるわけではありませんが、消費電力はPR-500KI使用時の10.5Wから6.5W程度にまで減少し年間700円強の電気代節約になりますし、どでかいホームゲートウェイが無くなって配線もスッキりするのでミニマリストな方にはおススメです。

NVR510によるIPoE + Ds-Liteの設定 (最新版)

ホームゲートウェイから小型ONUへの切り替えにあたってはNVR510の設定変更が必要です。それほど大きく弄る必要はありませんが、既存の設定ファイルに溜まったゴミも気になっていたのでこの機に一旦初期化。真っさらな状態から再設定を行うことにしました。

NVR510でIIJmioひかり「IPoE オプション」で提供されるIPoE + DS-Lite方式によるインターネット接続を利用するにあたって、以前はコマンドを叩いて設定を流し込む必要がありましたが、ファームウェアの機能改善が進んだ現在はGUI(Webコンソール)だけで完結可能になっているので下記の手順通りに進めるのみ。

[かんたん設定]-[プロバイダー接続]

  1. インターフェースの選択
    • 接続インターフェース : 「ONU」
  2. 回線自動判別
    • (設定項目なし)
  3. 接続種別の選択
    • 接続種別の選択 : 「IPv6 IPoE接続」
  4. プロバイダー情報の選択
    • 設定 : (任意)
    • ひかり電話の契約 :「契約している」
    • IPv4 over IPv6 トンネルの設定 :「使用しない」
  5. DNSサーバーの設定
    • DNSサーバーの設定 : 「DNSサーバーアドレスを指定しない、またはプロバイダーから自動取得」

[かんたん設定]-[VPN]-[拠点間接続]

  1. 接続種別の選択
    • 「IPIP」
  2. IPIPに関する設定
    • 設定名 : (任意)
    • 接続先のホスト名またはIPアドレス : 「gw.transix.jp」
    • IPIPトンネルを使用するインターフェースの指定 : 「指定しない」
    • IPIPキープアライブ : 「使用しない」
  3. 経路に関する設定
    • 「デフォルト経路」

[かんたん設定]-[IP電話]-[ひかり電話]

  1. ひかり電話の設定
    • 「ひかり電話を使用する」
  2. インターフェースの選択
    • 「ONU」
  3. プレフィックスの設定
    • (入力不要)

これで下記のようなコンフィグが生成されます。

ip route default gateway tunnel 1
ipv6 route default gateway dhcp onu1
ipv6 prefix 1 dhcp-prefix@onu1::/64
ipv6 lan1 address dhcp-prefix@onu1::1/64
ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on
ipv6 lan1 dhcp service server
ip onu1 address dhcp
ipv6 onu1 address dhcp
ipv6 onu1 secure filter in 102000 102001 102002
ipv6 onu1 secure filter out 102099 dynamic 102080 102081 102082 102083 102084 102085 102098 102099
ipv6 onu1 dhcp service client
ngn type onu1 ntt
tunnel select 1
tunnel encapsulation ipip
tunnel endpoint remote address gw.transix.jp
ip tunnel tcp mss limit auto

tunnel enable 1
ip filter 500000 restrict * * * * *
ipv6 filter 102000 pass * * icmp6 * *
ipv6 filter 102001 pass * * tcp * ident
ipv6 filter 102002 pass * * udp * 546
ipv6 filter 102099 pass * * * * *
ipv6 filter dynamic 102080 * * ftp
ipv6 filter dynamic 102081 * * domain
ipv6 filter dynamic 102082 * * www
ipv6 filter dynamic 102083 * * smtp
ipv6 filter dynamic 102084 * * pop3
ipv6 filter dynamic 102085 * * submission
ipv6 filter dynamic 102098 * * tcp
ipv6 filter dynamic 102099 * * udp
dns server dhcp onu1
dns server select 500000 dhcp onu1 any .
dns private address spoof on
dns private name setup.netvolante.jp
analog supplementary-service pseudo call-waiting
analog extension emergency-call-dial type normal-number
analog extension dial prefix sip prefix=”9#”
analog extension dial prefix port=1 ngn onu1
analog extension dial prefix port=2 ngn onu1
sip use on
sip codec permit onu1 g711u
statistics traffic on

少し古い情報の中には赤字部分の1行目のコマンドが異なっていたり2行目が存在しなかったりするケースもありますが、現在はこちらがヤマハの推奨する設定になります。(長くなるので詳細は省きます。気になる方はヤマハのドキュメントをご参照ください。)

なお、tunnel select 1のMTUのデフォルト値がDS-Liteの最適値(1460)とは異なるので、別途手動で追加設定することをオススメします。

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