その軽さから旅行や登山時の携行用として重宝しているアルミ合金製の三脚『SLIK スプリントPRO GM』。
機材の更新に伴い雲台を『SBH-100』から『SBH-120』にアップグレードさせるなどしながら10年以上に渡り愛用しているのですが、このSBHシリーズの自由雲台はカメラ取付面のコルクが大変滑りやすく縦位置撮影しようとするとレンズがお辞儀してしまい公称耐荷重量の半分以下の機材すらまともに支えきれない有様なので別の雲台を探すことにしました。
山での使用を第一に考えるとコンパクトさと丈夫さが要。それでいて万が一壊してしまっても惜しくない価格帯で、スムーズに着脱出来るアルカスイス互換のもの…という条件で見つけたのが『Sinvitron 自由雲台(S-06)』なる中華製雲台。コストパフォーマンスの高さでAmazon.co.jpでもなかなか人気の商品のようです。
聞いたこともない中国のブランドということに加え、3,000円を下回る同種の雲台の中では破格の値段、明らかにBENROをパクったとしか思えない外観…など警戒心を抱かない方がオカシイ要素がテンコ盛りですが、コピー元に倣った(?)堅実な作りで本体剛性も高くクイックシューの固定部を始め各種可動部のガタツキも無し。SBH-120とは比べ物にならないくらい良い出来です。
国内メーカーが同等商品をリリースするとなると軽く1万円は超えそうなこの商品が、この値段で手に入るのですから人気が高いのも頷けます。
付属のクイックシューは裏面両サイドに脱落防止ピンを備えたタイプなのでロックを緩めた際のセーフガードとなるのもGOOD。
スプリントPROと組み合わせるにはやや頭でっかちな気がしないでもありませんでしたが、SBH-120とはベース部の大きさはそれほど変わりませんし、高さもクイックシューの厚み分くらいしか変わらないのでそれほどアンバランスには見えません。
重量は以前より100gほど増すものの、それでも三脚込みで1.1Kgほど。支障になるような差ではないでしょう。スプリントPROの専用収納袋に入れると雲台が飛び出してしまいますが、これはSBH-120でも同様だったので気にしない。まぁ、収納袋なんて風で飛んでいくなどして面倒なだけなので普段は裸で携行してますから…(笑)。
ボールヘッドは30mm径と一般的なサイズですが、スペック上の耐荷重量は6~10Kg。試しに『Nikon D300S』に『Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II』とスピードライト『SB-700』などを付けた計3.0Kgほどの構成の機材を載せてみましたが、通常使用に於いて不安な点は見られません。なお、三脚側が軽すぎて転倒の恐れがあるためこの構成では試しませんでしたが、本体+標準ズームの通常形態であれば縦位置撮影でもレンズがお辞儀することはなく積年の悩みが一発解消しました。
唯一気になった点といえば、雲台を三脚に固定するために利用する付属のU1/4-U3/8変換ネジの精度が悪さ。後でAmazon.co.jpのレビュー内に同様の指摘があることに気がついたのですが、付属の変換ネジを雲台にしっかりネジ込んでも僅かに出っ張りが残り三脚側の取付面に密着しないためグラつく恐れがあります。これから同雲台を購入される方は『HAKUBA カメラネジアダプター H-SA8』あたりを一緒に購入されることをオススメします。
アルカスイス互換の雲台を使う上で注意しなければならない異なるメーカーのクイックシューとの互換性ですが、手持ちのクイックシューのうち2つがSinvitronに装着出来ないことが判明。1つは脱落防止ピンが大きすぎてスライド出来ない、もうひとつはプレートの幅が大きすぎてどう頑張っても入らない…。こればっかりは厳密な規格化がなされていない「アルカスイス互換」ならではの問題なのでどこが悪いとも言えないのですが、そろそろ誰かが主導してISO規格化してくれませんかね?