2020年末に購入した『IdeaPad Duet Chromebook (CT-X636F)』。主に出張時のお供としウェブ閲覧やメールの読み書きなどに使用してきましたが、Chrome OSや各種アプリの要求性能の向上やストレージの劣化により動作の緩慢さが顕著になり、これ以上の活用が難しくなってきたので買い替えを検討することにしました。
Chrome OSはChrome OSでそれなりに便利でしたが、アップデートが頻繁で時折不安定なビルドが降ってくるケースもあったうえ、以前ほどお得感も感じられなくなっているので今回は大人しくAndroidタブレットに出戻り。ここ数年でメーカーの淘汰が進み選択肢はそれほど潤沢ではありませんでしたが、いくつかの候補の中から今回はコスパ重視で『Fire Max 11』を購入。
ちょうどプライムデーの先行セールが始まったタイミングだったため、通常価格より1万円近くお得に入手することができました。
Fire Max 11の特徴
Fire Max 11はAmazonが提供するFireタブレットシリーズ史上最もハイスペックなタブレット端末で、同シリーズにおける第13世代(2013年モデル)のバリエーションモデルとなります。
従来のFireタブレットはプライムビデオやAmazon Musicなどのコンテンツを再生するのに必要最小限のスペックしか備えない割り切った仕様で低価格を実現していましたが、Fire Max 11はそこから路線変更。価格アップと引き換えに他社のミッドレンジAndroidタブレットとも渡り合える仕様となり、クリエイティブな用途にも耐えうる一台となっています。
OSは他のFireタブレットシリーズと同様にFire OSを採用しているため、そのままではGoogle Playが利用できずインストール可能なアプリが制限されるという縛りはあるものの、多少の知識があれば導入は可能。そこさえクリア出来ればコスパに優れたAndroidタブレットとして活用できるというワケ。
本体以外の付属品はUSB-ACアダプタ(9W)、USB-C(2.0)ケーブル、SDカード取り出しピン、クイックスタートガイドとシンプル。
背面はアルミ仕上げとなっており、樹脂製だった従来のFireタブレットに比べグンと高級感が増しています。
本体を横にして持ったとき、右側面には上から指紋認証対応の電源ボタン、ボリュームボタン、USB-Cポート、microSDカードトレイが配置。底面には専用キーボードと接続するためのポゴピンが用意されています。
詳細スペックは下記の通り。比較対象として、子供の動画視聴用として主に自家用車内で使用している『Fire HD 10』(第9世代/2019年モデル)の情報を併記しておきます。
Fire Max 11(第13世代/2023年モデル) | Fire HD 10(第9世代/2019年モデル) | |
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国内発売日 | 2023年6月 | 2019年10月 |
ディスプレイ | 11インチ IPS 液晶 2,000×1,200 | 10.1インチ IPS 液晶 1,920×1,200 |
SoC | Mediatek MT8188J | MediaTek MT8183 |
CPU | オクタコア ・Cortex-A78 (2.2GHz) x2 ・Cortex-A55 (2.0GHz) x6 | オクタコア ・Cortex-A73 (2.0GHz) x4 ・Cortex-A53 (2.0GHz) x4 |
GPU | ARM Mali-G57 MC2 | ARM Mali-G72 MP3 |
RAM | 4 GB | 2 GB |
ストレージ | 64/128 GB | 32/64 GB |
OS | Fire OS 8 | Fire OS 7 |
背面カメラ | 800万画素 | 200万画素 |
前面カメラ | 800万画素 | 200万画素 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac/ax (2.4/5GHz) | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) |
センサー | 指紋認証, 加速度計, 環境照度センサー | 加速度計, 環境照度センサー |
インタフェース | USB Type-C、MicroSD (最大 1 TB) | USB Type-C、MicroSD (最大 512 GB) |
サイズ | 259.1 x 163.7 x 7.5 mm | 262.0 x 159.0 × 9.8 mm |
重量 | 490 g | 504 g |
RAMやストレージの倍増、画面サイズやカメラの解像度の違いに目を引かれがちですが、Fire Max 11の方が軽くコンパクトに仕上がっている点も個人的に評価するポイント。やはりタブレットは携帯性に優れてナンボだと思います。
また、Fireタブレットシリーズで初採用となる指紋認証センサーの搭載により使い勝手は劇的に向上。精度も上々でロック解除もスムーズになり、これだけでも買い替えのメリットを実感可能です。
ベンチマーク
実際にFire Max 11の性能を実測してみます。
ベンチマークソフトのバージョンにより一部動作しないものがあったため、『Fire HD 10』(第9世代/2019年モデル)及び『IdeaPad Duet Chromebook』(CT-X636F)の結果も比較対象として併記します。
Fire Max 11(第13世代/2023年モデル) | Fire HD 10(第9世代/2019年モデル) | IdeaPad Duet Chromebook(CT-X636F) | |
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Geekbench 6.3.0 | Single-Core 942 Multi-Core 2,327 | 計測不可 | Single-Core 299 Multi-Core 1,060 |
Geekbench 5.4.1 | Single-Core 699 Multi-Core 2,017 | Single-Core 263 Multi-Core 921 | 計測不可 |
Octane 2.0 (Chrome v126) | 32,130 | 10,896 | 12,385 |
Fire Max 11は比較対象の他2機種に比べおよそ3倍のスコアを記録。高負荷なゲームなど欲張った使い方をしない限り、この先2年は普段使い端末として困ることはないでしょう。
使い勝手と感想
先述の通り従来のFireタブレットはプライムビデオやAmazon Musicなどのコンテンツ再生に特化した端末ゆえ従来より汎用的な使い方はあまり想定されていませんでしたが、Fire Max 11ではビジネス用途も想定しMicrosoft 365がプリインストールされています。ライセンスをお持ちであれば、PC版と同じとまではいかないまでも大抵の作業は可能となります。
また、Fire OSはAndroidがベースとなっているためゴニョればGoogle Playを導入可能な点は従来通り。過去のFireタブレットでは仮にGoogle Playを入れたところで大半のアプリがスペック不足でまともに動かせなかったため、Androidタブレットの代替としての本格的な活用は現実的ではなかったのですが、Fire Max 11であればChromeブラウザはもちろん、ちょっしたゲームも何不自由なく動かすことが出来るようになりました。
液晶の発色は良好。若干グリーンが強めな印象はあるものの、シャープな描写で高精細な印象を受けます。AbemaなどでWRCなどのモータースポーツを見ていると滑らかさを欠く印象を受けるのでリフレッシュレートはそれほど高くなさそうですが、11インチという画面サイズからして大きな問題になることはないでしょう。
一方、Fire Max 11に限った話ではないのですがこの手のタブレットの常として、サウンド面はいまひとつ迫力に欠けます。決して音が悪すぎるわけではないのですが、本体の構造上低音を出すのが難しいためそのままでの映画の視聴には物足りなさを感じる人が多いのではないかと思われます。ヘッドフォンなどを利用すれば済む話しですが、3.5mmのオーディオジャックが備わっていないためUSB Type-Cからの変換アダプタ等を別途用意しておく必要があります。
変換アダプタといってもDAC内蔵のものでないと音が出せないため、よくわからなければ『Anker USB-C & 3.5 mm オーディオアダプタ』あたりを買っておけば間違いありません。
専用キーボードで2in1タブレット化
Fire Max 11の魅力をさらに引き出すのが、専用設計のキックスタンドとキーボードがセットになった『Fire Max 11用 キーボード付きカバー』です。タッチパッドも搭載されており、外出先でもノートPCのような操作感でインプットしたければ併せ買いしておくのがベター。
キックスタンドの背面がファブリック調で、キーボードがポゴピンによる物理接続のため別途ペアリングや充電の必要がない点どIdeaPad Duetと共通する部分が多数見受けられます。おまけに「fn」キーが「ctrl」キーの外側にあるキーボード配列などからして、Fire Max 11のOEM元はLenovoなのでしょう…(笑)。
本体と組み合わせた際の総重量は約910g。IdeaPad Duetが920gだったので大きな差はありませんが、10gとはいえ画面サイズが拡大したにも関わらず軽量化されたのですから素晴らしい限り。
ちなみに上記の写真はこちらも併せて購入しておいたノングレアタイプの液晶保護フィルム『PDA工房 PerfectShield Plus 保護フィルム』を本体に貼っています。ここまでやると下手なビジネス向けノートPCより遥かにノートPC感があります。
まとめ
Fire Max 11はIdeaPad Duetからのアップグレードとして非常に満足のいく選択でした。
同価格帯の製品であっても3~4年前の端末と比べれば性能は雲泥の差。こうしたコスパに優れたミドルレンジの端末を2~3年おきに買い替え使う方がストレスも溜まらずコスト面でも有利に働くような気がします。
タブレットの買い替えや新規購入を検討している方でビジネスユースやクリエイティブな用途も視野に入れている場合、Fire Max 11を選択肢の1つとして真剣に考慮してみる価値があるでしょう。Amazonのエコシステムとの親和性が高く、かつ汎用性も兼ね備えたこの製品は、多くのユーザーにとって理想的な1台となる可能性を秘めています。
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