リモート会議に便利なマイク付きワイヤレスイヤホンが欲しいのですが、期待値MAXで購入したにもかかわらず不具合満載で返品(後にリコール発表)したSHUREのフルワイヤレスイヤフォン『SHURE AONIC 215』で一度痛い目にあっているうえ、後釜として目を付けていた『ヤマハ TW-E7A』もポチる寸前で不具合による返金・回収と販売中止のリリースが発表されるなどしたことから、この手の商品そのものに及び越しになってしまっています。
フルワイヤレスイヤフォンというジャンルは発展途上でまだまだ改善の余地が大きいように感じられる向きもあますし、バッテリーの劣化という不可避な事象も勘案するとこれまでのように”良いものを買って長く使う”よりも”コスパの良いものを渡り歩く”といった使い方の方が向いてるんだろうなと思い始めた矢先、コストコ・オンラインで『AVIOT TE-D01k』なるワイヤレスイヤホンが3,980円というセール価格で販売されているのを発見。
AVIOTというブランドはネット記事などで見て知っていましたが、どちらかというと「日本発」を強調して有名人とのコラボモデルを立て続けに展開する知名度優先の怪しげなメーカー…という程度の認識。とはいえ、コストコで取り扱ってるということはそれなりに品質は担保されてるでしょうし、少し使ってみて気に食わなければ即返品も可能なので物は試しで購入してみました。
AVIOT TE-D01k
シンプルな黒いパッケージの中にはイヤホン本体と専用チャージングケースのほかに、USB Type A to Cケーブル、交換用イヤーチップS/M/L(Mサイズはイヤホンに装着)、ストラップ、収納ポーチ、ユーザーマニュアル、製品保証登録カードが付属。
値段の割に付属品は充実しています。なお、パッケージ裏面には付属品として「microUSBケーブル」の記載がありますがこれは明らかな記載ミス。
付属するケーブルもチャージングケースのコネクタもUSB Type-Cです。これを見て「今時、microUSB接続かよ」と思って買うのを辞めちゃった人は少なくないと思うんだ…だからセール対象になったのかな?
ストラップはイヤホンの落下防止用…かと思いきや、まさかのチャージングケースを首から下げて使うためのもの。チャージングケースを首から下げて持ち歩くという発想はなかった(笑)。
イヤホン本体はこの手の製品にありがちなサイズ感・重量で特別気になるところはありません。
気になるといえばデザイン上、AVIOTのロゴが施されたボタン部分がメタリックで悪目立ちしそうな点くらい。付属のイヤーチップはシリコンタイプでShureなどで使用しているウレタンチップに比べフィット感や遮音性は劣りますが、付け心地は悪くありません。
一方、専用チャージングケースは比較的コンパクトでデザインもシンプルで好印象。先述の通りUSB Type-Cを採用しているので、スマホやタブレットと充電環境を共有出来る点は便利。ただし、入力は5V 400mAなのでmicroUSB世代のものと充電時間は変わりません。
チャージングケースにはマグネットが内蔵されているようで、きっちり位置合わせをしなくてもイヤホン本体をケース内に戻すとすぐに正しい位置に収まるのは非常に便利。接触が甘くてうまく充電出来ていなかった、なんてことは起こりにくいと思います。
なお、チャージングケースのバッテリー容量は400mAh。イヤホン本体が左右それぞれ50mAhのバッテリーを積んでいるので、ある程度のロスを勘案しても3回くらいのフル充電が可能なようです。
イヤホン本体の仕様はQualcomm製のチップ(QCC3020)を採用し、コーデックはSBCに加えAACとaptXにも対応。3台までのマルチペアリング対応するので複数の機器での使用にも便利なうえ、IPX7レベルの高い防水性能を備えていることから外出時の急な雨にも安心…と価格を考えれば至れり尽くせりな印象。
ちなみに、VGP 2021の「Bluetooth完全ワイヤレスイヤホン(5千円以上7.5千円未満)」部門の受賞商品でもあるのですが、この商品は販路がかなり限定されているようで実質コストコ専売に近い状態らしくネットを見てもほとんど情報が見当たりません。そこまでニッチな商品がどうしてVGPを受賞出来るのかって、そりゃ…おや、誰か来たようだ。(笑)
まぁ、しっかりしたモノさえ提供してもらえれば例え実態が中国発のOEM商品だろうが何だろうがあまり気にするようなところでもない(値段も値段だし)ので、とりあえず使って判断することに。
音と使用感
元々リモート会議での使用を想定して購入したものであり音質などはあまり気にしていなかったのですが、他にレビューを掲載しているところもないようだし折角なので気になった点をいくつか書き残しておくことにします。
まずは手持ちのスマートフォン『Moto G7 Plus』にBluetooth接続。接続自体はスムーズで、一度ペアリングを済ませておけばあとはチャージングケースからイヤホンを取り出すだけで5秒ほどで勝手に繋がり、チャージングケースに戻せば切断されます。
コーデックは基本的に上位規格のもので接続されるのでユーザーがあまり意識する必要はありませんが、気になる場合は[設定]-[システム]-[開発者向けオプション]の中で確認可能。
Moto G7 Plusを始めとする近年のAndroidスマホであればaptXで接続されるはず。SBCでしか繋がらない古い端末でも接続は可能ですが、Bluetoothイヤホンを使う場合は音質面で気になる場合が少なくないと思われるので端末の買い替えを検討した方が良いでしょう。
手始めにPowerAmpでFlacファイルを再生、続けてSpotifyやAmazon Music、radikoなども一通り確認しましたが、音のバランスは素直で悪くない印象。遅延も少なく、音質に関しても以前試用したことのあるAirPodsよりも優秀(AirPodsが酷すぎただけ?)。ホワイトノイズが多少気になるものの、値段を考えればこの程度は許容範囲。
なお、これはBluetooth接続のオーディオ製品全般に言えることですが、端末側の設定で絶対音量が有効になっていると刻みの荒い端末側のボリュームと同期されてしまい「ちょうど良いボリュームにならない」といったことがままあるので、[開発者向けオプション]で「絶対音量を無効にする」をONにしておけば微調整が可能になります。
ノイズキャンセリング機能は備えていませんが、最適なサイズのイヤチップを選択すればそれなりの遮音性はあります。ただし、多少音漏れがしやすいようなのでもし公共交通機関の中などで使用する際は音量に注意しておいた方がよさそうです。
他のBluetoothイヤホン製品と同様にこちらもハウジング(シェル)上のボタンを使って端末の操作が可能。左側のボタンを2回連続で押せばボリュームダウン、3回連続で押せばボリュームダウンし、右側のボタンを2回連続で押せば曲送り、3回連続で押せば曲戻し…といった感じ。便利と言えば便利ですが、慣れないとお気に入りの曲でボリュームを上げるつもりが誤って曲をスキップしてしまったりしがち。特にSpotifyフリープランなどは一度スキップしてしまうと前の曲に戻せない制限があったりするので要注意です。また、折角耳にいい感じでフィットしているのにボタン操作の度にハウジングをぐいぐい押し込むような形になるのでボタンの配置はなんとかならんかったかなぁ…と思います。
ちなみに取説にはボタンの長押しで「OK Google」などの音声アシスタントの起動が出来るように書いてあるのですが、わたしの環境ではうまく動作しませんでした。これが機能するとジョギング中などに端末に触れずにソースの切り替えが出来て便利なのになぁ。
続けてリモート会議で主に使用する仕事用のPC『ProBook 450 G2』とも接続。Windows 10は接続中のコーデックを確認する術がありませんが、OS標準でaptXに対応しているのでaptXで繋がっているはず…(多分)。スマホ以上にホワイトノイズが強く出てしまっているのが気になりますが、これは環境によるものかな??
さっそくTE-D01kに内蔵されたマイクを活用してTeamsやZoomによる音声通話にトライしましたが普通に使えます。マイクはハウジング上の用意されているので、大き目の声で喋らないと相手に聞こえないのではないか?と心配しましたが、普通に喋っても声が遠いといったことはありません。通話時はcVc8.0ノイズキャンセリングが機能し周囲の多少の喧騒は打ち消されるので多少騒々しい中でも会話可能です。
但し、イヤホンで耳が塞がれた状態で喋ると自分の声が頭の中で籠って響くので慣れるまでは違和感がするかもしれません。
最後にTE-D01kを複数端末で行き来しながら使う場合、先に繋がっている端末でBluetooth接続を切断したのち繋ぎたい端末で接続してやる必要があります。ロジクールのマウスのようにTE-D01k側で接続先を切り替えられると最高だったのですが、これまでにそういう機能を備えたBluetoothイヤホンがあるという話しは聞いたことがないので現時点では実装が難しいのかな?
まとめ
最近流行りのフルワイヤレスイヤホン。音質やバッテリー充電の手間を考えると無条件に賞賛出来るものではありませんが、マスクを常用しなければならないコロナ禍の環境で有線イヤホンを使用していると着脱時にマスクの耳紐が絡まったりして面倒なことも少なくないのでそうしたストレスを未然に防ぐという意味においては利便の高いアイテムではないかと思います。
フルワイヤレスイヤホンの中には詐欺みたいな商品も少なくないので注意が必要ですが、価格重視で選ぶなら『AVIOT TE-D01k』は優れた選択肢のひとつに挙げて良いのではないかと思います。
外れたイヤーチップが耳孔内に残り耳鼻科に駆け込まざるを得なくなる事故が発生。危険と判断し返品(2021-06-05)
耳孔にしっかり押し込むことでフィットさせるインナーイヤ型のワイヤレスイヤホンにしては、イヤーチップの着脱が妙に容易だな…とは購入直後に感じていたのですが、先日恐れていた事態が発生。会社の自席でTeams会議を終え、左側のイヤホンを外そうとした際にイヤーチップが本体から外れ耳孔内に残留してしまったのです。
周囲のメンバーも巻き込んで取り出そうと頑張ったものの「奥の方に残っており指が届かない。ピンセットを用意するか、耳鼻科に行くかしかない。」ということに。あいにく近所のコンビニなどでピンセットが見つからなかったため、近くの耳鼻科に駆け込みお医者さんにも「最近多いけど、こんなイヤホン危ないにきまってるやろ」と呆れられながら取ってもらいました。(泣)
とはいえ、懲りない私。帰宅後に「今回は外し方が悪かったのでは?」と思い、念のためピンセットが薬箱の中にあるのを確認したうえで恐る恐る再度装着してみたところ、今度は両方ともイヤーチップが外れて耳孔内に…。嫁からも同じように呆れられながらピンセットで取って貰った後、さすがにこの製品の継続使用は危険だと思いコストコで返品してきました。
イヤーチップに用いられている素材が温度変化に弱く、気温の上昇とともに柔らかくなり外れやすくなったのかな?と予想されますが、新興メーカーといえど安全性にかかわる部分はきちんとして頂かないと…。コストコオンラインのレビューにも同様の事故の報告がなされているようですし、下手するとリコール騒ぎになりそうな気がしなくもありません。
ワイヤレスイヤホンに関しては嫌な思い出ばかりが増えて正直もうコリゴリなんですが、ひと月ぶりに引っ張り出したSHURE SE215の純正ケーブルがどうも断線気味。今度のプライムデーに不具合対応版の『SHURE AONIC 215』が幾らかでも安くなってたら買いなおそうかな…。