4/16に発売が始まったGoogleの最新スマートフォン『Pixel 9a』。Goggleストアにて事前予約しておいた同機がわたしの手元にも着弾しました。
もともとコスパ重視を謳っていた”a”付きモデルですが、円安や物価高騰の影響を受けてモデルチェンジごとに値上がりを重ね、最新モデルとなった9aは79,900円(税込)と手軽に買い替えられる価格帯からは少し離れてしまいました。しかし、その分上位モデルに迫る高いスペックがアピールポイントとなっています。
2022年に発売され人気を博した『Pixel 6a』からの買い替え需要も取り込むべく、Googleは下取り増額キャンペーンも実施するなど積極的なマーケティングを展開中。そんな最新モデルについて、自腹レビューをお届けします。
お約束の開封の儀
ガジェット好きにとって、新しいデバイスの箱を開ける瞬間は特別な時間。状態の確認や同梱品の記録がてら開封の儀を実施しておくことにします。
パッケージはリサイクル素材を使用したナチュラルブラウンの本体箱に、選択した本体カラーに応じたスリーブが被せられています。スリーブは不用意に外れないよう裏側で紙製テープを用いて固定されているので、これを剥がしてからスリーブを外します。
本体箱の蓋を開けると、製品保護のための白いフィルムで覆われたPixel 9aの本体がお目見え。
同梱物はPixel 9a本体、USB Type-C to Cケーブル、SIMトレイ取り出し用のピン、そして小冊子類。最近のPixelシリーズと同様に、充電アダプターは付属していません。環境への配慮という名目ではありますが、本体とともに充電器の交換も検討されている場合には別途購入が必要になるので注意しましょう。
取り出した本体。
まず目を引くのはカメラ周りのデザイン。近年のPixelシリーズでは背面に配置された帯状の「カメラバー」がデザイン上のアイデンティティとなっていましたが、9aではそれがよりシンプルかつ洗練されたデザインへと進化しています。出っ張りも最小限に抑えられており、ケースなしでもテーブルに置いた際のガタつきが少なく、ポケットへの出し入れもスムーズになりました。
また、本体四隅のアールが従来モデルよりも大きくなったことで、全体的に柔らかくポップな印象に仕上がっています。
側面はフラットなアルミ製フレームを採用。ここで紹介している「Porcelain」(白)モデルの場合、ここはシルバーカラーとなっており、白い背面とのコントラストがデザイン上のアクセントとして機能しています。左側面にはボタン類はなく、右側面に電源ボタンと音量調節ボタンが配置。
上部にはノイズキャンセリング用と思われるマイク穴、下部には左からSIMカードスロット、マイク、USB Type-Cポート、スピーカーが並んでいます。
前面は6.3インチの有機ELディスプレイが主役。上部中央には通話用スピーカーとインカメラが配置されていますが、スピーカーは非常にスリムな設計のため存在感は控えめです。
実際に手に取って感じるサイズ感は、スペック表の数値から想像するよりも少し大きめ。これは側面がフラットになったことで、手のひらに当たる面積が増えた影響かもしれません。しかし、四隅の大きなアールと適度な薄さのおかげで持ちやすさは良好で、片手操作も十分に可能です。特にフラットなサイドフレームが指や掌へのひっかかりとなり、意図せず落下するリスクを減らしてくれるのは嬉しいポイントです。
ちなみに…今回は家族分も含め2台のPixel 9aを購入しており、もう1台はシックな印象の「Obsidian」(黒)を選択。
白はiPhoneのような洗練された佇まいがある一方、黒はAndroidらしい実用性を感じさせるビジネスライクな印象。どちらもそれぞれの魅力を持ち、好みやスタイルに合わせて選べるのが嬉しいポイントです。
Pixel 6aとの比較
Pixel 6aが登場してから約3年。この間、Googleのスマートフォン哲学はどう進化したのでしょうか。実際に両機種を並べてみると、単なるスペックアップに留まらない、デザイン思想の変化も見えてきます。
最も目を引く外観上の違いは、6aの特徴的な横長「カメラバー」の消失です。このデザイン要素が完全に姿を消し、9aではよりコンパクトでミニマルなカメラユニットへと変更されています。これにより、背面のデザインがよりすっきりとまとまり、高級感が増しています。
素材感にも大きな違いがあります。6aの背面は光沢のあるプラスチック素材で、見た目は美しいものの指紋が目立ちやすい欠点がありました。対して9aは、マットな質感の背面素材を採用。触り心地は高級感があり、指紋も付きにくく実用性が向上しています。
これらのデザイン変更は単なる見た目の問題ではなく、Googleのデザイン哲学の進化を象徴しています。より実用性と洗練さを兼ね備えた方向へと舵を切ったと言えるでしょう。
内部スペックにも大きな進化が見られます。主な仕様を表で比較してみましょう。
Pixel 9a | Pixel 6a | |
---|---|---|
国内発売日 | 2025年4月 | 2022年7月 |
ディスプレイ | 6.3インチ OLED 有機EL 2,424×1,080 (60-120Hz) | 6.1インチ OLED 有機EL 2,400×1,080 (60Hz) |
SoC | Google Tensor G4 | Google Tensor |
RAM | 8 GB | 6 GB |
ストレージ | 128 GB | 128 GB |
背面カメラ | ・4,800万画素 (f/1.7) ・1,300万画素 (f/2.2) | ・1,220万画素 (f/1.7) ・1,200万画素 (f/2.2) |
前面カメラ | 1,300万画素 (f/2.2) | 800万画素 (f/2.0) |
Wi-Fi | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.3) | 5.2 |
センサー | 指紋認証(ディスプレイ内蔵), 加速度計, ジャイロスコープ, コンパス, 近接センサー, 環境照度センサー、気圧計 | 指紋認証, 加速度計, ジャイロスコープ, コンパス, 近接センサー, 環境照度センサー、気圧計 |
バッテリー容量 | 5,100 mAh | 4,410 mAh |
インタフェース | USB Type-C | USB Type-C |
対応周波数 | 2G: 850/900/1,800/1,900MHz 3G: B1/2/4/5/8/19 4G: B1/2/3/4/5/7/8/12/14/17/18/19/20/21/26/28/32/38/39/40/41/42/66/75 5G: n1/2/3/5/7/8/12/20/26/28/30/40/41/66/75/77/78/79 | 2G: 850/900/1,800/1,900MHz 3G: B1/2/4/5/8/19 4G: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/25/26/28/29/30/34/38/39/40/41/42/48/66/71 5G: n1/2/3/5/7/8/12/20/25/28/30/38/40/41/48/66/71/77/78 |
サイズ | 154.7 x 73.3 x 8.9 mm | 152.2 x 71.8 x 8.9 mm |
重量 | 185.9 g | 178 g |
性能面での最大の進化のポイントは、SoCとディスプレイの二つ。66aに搭載されていた初代Google Tensorから3世代進化したTensor G4は、特にAI処理性能が大幅に向上。RAMも6GBから8GBへと増量されたことで、アプリの同時起動やバックグラウンド処理などの安定性向上が期待されます。
ディスプレイは単純なサイズアップだけでなく、リフレッシュレートが60Hzから最大120Hzへと進化した点が革命的。この変更は数値以上の体感差をもたらし、スクロールの滑らかさやアニメーションの美しさは一度体験するとその差に驚かされます。
ベンチマーク比較も実施してみました。定番のGeekbench 6で両機種の性能を数値化してみましょう。まずはCPUから。
続けてGPU。
6aも最近のシステムアップデートでカーネルとドライバーが最適化されて大幅に性能が向上したこともあり、数値上の差はやや控えめな結果に。特にGPUのスコアでは期待していたほどの飛躍的向上は見られず、ややもの足りなさを感じる部分もありますが、ゲーミングスマホではありませんし一般的な使用感では十二分な性能を備えていると言えるでしょう。
ファーストインプレッション
Pixel 9aを数日使ってみた印象は「快適」の一言に尽きます。
まず認証面では晴天の屋外でも指紋認証はほぼ問題なく機能しますし、指がかさついて一発で通らなかった場合でも顔認証がそれを補ってくれるので、いまのところロック解除時にPINコードを入力する必要に迫られたことはありません。セキュリティと利便性のバランスが取れた設計だと感じます。
性能面では進化したSoCによるアプリのレスポンス、ホーム画面の切り替えなどの機敏さに加え、高いリフレッシュレートにより画面のスクロールや動画などもヌルヌルで想像以上に恩恵を感じられます。さらに、ディスプレイの色再現性も素晴らしく写真の閲覧も快適に行えます。
カメラもさすがはPixelといった感じ。特にホワイトバランスや露出は自動設定のままでもほぼ見たままの風景を切り取ってくれます。
添付の画像はブログ掲載時に縮小・圧縮されているので伝わりにくいと思いますが、グラデーションにはザラつきも感じられず、混みいった部分もしっかり表現。また、暗い場所で撮影した際のノイズも6aから随分と改善されており、この辺はレンズだけでなくAI性能の向上が大きく寄与してくれているのかもしれません。手ブレの影響も受けにくくなった印象です。
また、6aではナビやカメラを長時間起動していると本体の発熱がみられましたが、9aにはPixel 9 Proにも搭載されているベイパーチャンバーも搭載されているらしくほとんど気にならないレベルに収まっています。発熱による機能制限の頻度も減らせるのでこれから暑くなる夏は安心です。
バッテリー容量も5,100mAhへと強化されていて、朝から晩まで少々ヘビーユースしても1日持つ点も安心。これまでと同じような使い方をしていても就寝時には半分程度の残量があります。急速充電にも対応しているので、短時間の充電でもしっかり回復するのも嬉しいポイントです。
まとめ
Pixel 9aは上位モデルの恩恵を多く受けた実用性の高いモデルに仕上がっています。
日常使用においてはハイエンド機種との性能差を体感する場面も少なく、エントリーモデルながらもPixelらしさが全開の使用感を楽しめます。代を重ねるにつれて価格は上昇傾向にあるものの、コストパフォーマンスという点では依然として最高レベルの選択肢といえるでしょう。
セキュリティとOSのアップデートが7年間提供される長期サポートも特筆すべき特徴です。サポート終了前にバッテリーの劣化や有機ELディスプレイの照度低下が訪れることは避けられないため、公式なリペア手段の利用も検討しておかないと無用の長物になりかねません。しかし、次の買い替えタイミングを余裕をもって構えられるのは大きなメリットとなります。
今なら発売を記念して実施中の下取りキャンペーンを利用することで、実質負担を抑えることも可能です。Pixelシリーズは年に数度セール対象となることはあるものの、時間の経過とともに大幅に安くなることは少なく、基本的には発売直後のキャンペーン時が最もお得なタイミングです。
バッテリー持ちの向上、カメラ性能の進化、発熱問題の改善など、過去モデルから進化を遂げた9aは、ここ数年買い替えを見送ってきたPixel “a”シリーズユーザーにとって、間違いなく検討に値する一台です。この機会を逃す手はありませんよ!
サードパーティ製アクセサリ
Spigen Google Pixel 9a Liquid Air
わたしのPixel 9aには到着直後すぐに『Spigen Google Pixel 9a Liquid Air (ACS09040)』を装着。
このLiquid Airシリーズは、以前使用していたPixel 6aでも愛用していたケース。マットな質感で指紋がつきにくく、滑り止め加工も施されているので、手に持ったときの安心感が違います。加えて、MIL規格に準拠した耐衝撃性能のおかげで、うっかり落としたときも本体をしっかり守ってくれるという信頼感があります。
6aでは定番のブラックを使っていたのですが、暗いレストランやカフェなどで周囲に溶け込んでしまい、テーブルの上に置き忘れそうになったことが何度かありました。そこで今回は、少しだけ色味のあるネイビーを選択。見た目にもカジュアルさが加わって、より「自分のスマホ」らしさを感じられるようになりました。
装着感も抜群で、ボタン操作のフィードバックも損なわれませんし、カメラ周りや画面縁もきちんと保護されているのが分かります。Pixelシリーズを使っている方には定番とも言えるSpigenのケース。今回の9aでも安定の使い心地でおすすめです。