昨年6月の引っ越し後早々にリビングのテレビを買い替えるつもりだったのですが、仕事や子育てに追われゆっくりテレビを見る時間もなかったため気がつけば越年。最近になってようやく落ち着いてきたので、各社の最新モデルを夏頃からじっくり比較検討し価格も落ち着いてきたこのタイミングで購入することにしました。
今は4Kへの過渡期ということもあり各社ともスペックや方向性を手探りな状態で、現状最もソツのない選択肢といえばパナソニック以外にありません。AndroidTV内蔵のソニー製品には多少惹かましたが、恐ろしく不安定で画作りも古臭かったため却下…結局パナの「CX800」か「CX700」のいずれかを選ぶことにしたのですが、両シリーズの間にはパネルの種類やバックライト方式、ヘキサマクロドライブやHDR、3D対応の有無などスペック上の違いはあれど基本的な機能には差異がないため大いに悩んだものの、IPSの視野角の広さと発色の良さが決め手となりCX800をチョイス。スタンド形状により2種の型番が用意されていますが、今回は販促中でポイント還元率も大きかったスラントデザイン採用の55インチモデル『VIERA TH-55CX800N』をオーダー。無事に納品されました。
さすがに55インチともなると梱包もデカいです。
我が家ではテレビを壁掛けに出来るバックパネル付きのローボードを使用していますが、配送・設置に来た人は対応出来そうにない様子だったのでとりあえずローボードの上にスタンドを付けた状態で普通に設置してもらい動作確認。その後、子供がお昼寝している間に嫁と二人で壁に固定しせっせとケーブリング。
これまで使っていたPanasonicの2010年モデル『VIERA TH-L37D2』は壁掛け設置を考慮した設計がなされていなかったため主要なケーブル類を本体に対し垂直に接続しなければならず壁掛金具や壁面と干渉しがちでしたが、CX800では現状ほとんど利用されなくなったレガシーポート(RCAとD端子)以外は端子が平行に設けられているのでケーブルやコネクタに負担がかからず抜き差しも楽。
テレビが大きくなったことにより既存のLANケーブルでは長さが足りなくなったので、急遽長めのケーブルを買いに走るなどしましたがなんとか設置完了。
一般にテレビの上端と目線を同じ高さにして僅かに見下ろすような形とするのがもっとも理想的な設置位置だと言われているため、大型化した画面にあわせ目一杯下げた状態で固定。これにより従来テレビの前に置いていたセンタースピーカー『SC-C55SG』がリモコン受光部や画面と干渉するようになったためひとまず撤去。こちらの対応については後日検討します…。
外したスタンドもクローゼットで保管しておくことにしましたが、テレビと同じだけ幅があるので場所をとります。どうせ使わないからどっちでもいいや…とスラントデザインを選択しましたが早まったかも(苦笑)。
リモコンは「メインリモコン」とBluetooth接続による「音声タッチパッドリモコン」の2つ。メインリモコンのデザインコンセプトは数年前から変わっていませんが、2010年モデルのリモコンと比較するとアナログ放送への切替ボタンの廃止や番組表ボタンのポジション変更に加え、NetFlixボタンの追加などが行われています。NetFlixユーザには大変便利な専用ボタンの配置だと思われますが、特に契約の予定がない人にとっては正直「う~ん」な感じ。
電源を入れてから映像が表示されるまでにかかる時間は、高画質化のための様々な画像処理を伴うせいか2010年モデルに比べ僅かに遅く感ますがストレスを感じるほどではありません(それでもソニー製品よりは遥かに早い)。チャンネル切替にかかる時間は早くもなく遅くもなく至って標準的。
現状エージングを兼ねて視聴している状態で追い込んだ設定は一切していませんが、そんな状態であっても映像は文句なしに綺麗。4Kによる精彩さは勿論のこと、広色域IPSパネルとヘキサマクロドライブの実力を存分に活かした夕景での赤や青の階調表現の凄さには思わず息をのみます。
「Firefox OS」採用によるUIの変化と気になる機能
4K時代のテレビ向けプラットフォームとしてソニーやシャープが「Android TV」を採用をすすめるなか、Panasonicがパートナーに選んだ「Firefox OS」によるUIの変化や気になる機能についても少し確認。
Panasonicが実績のあるAndroidではなくFirefox OSを選んだことについては当初より否定的な意見が多く聞かれ、わたし自身も疑問を抱いていたのですが実際にこれらを採用した商品がリリースされ両者を比較してみたらマイナスイメージは払拭。
先行してリリースされたAndroid TV搭載品はなんといっても不安定でテレビの視聴もままならない時があるようですし、電源を投入して起動までにかかる時間やテレビ視聴に移るまでの手順の煩わしさ、1つのGoogleアカウントを家族で共用しなければならない点など使い勝手に関しても熟成不足の感が否めません。これらを見るにつけ、Javaなど不安定なミドルウェアを排除したシンプルな構造のFirefox OSを既存の資産とうまく融合させ軟着陸を図ったPanasonicの判断は(珍しく)正しかったように感じます。
シンプルなUIが特徴のホーム画面。Panasonicらしからぬ垢抜けた印象のデザインですが、これはFirefox OSのライセンス上の規定に基づくものらしいので今後追随してFirefox OSを採用するメーカーが出てきても操作性が大きく変わることがないようです。
「アプリ一覧」にはスマートフォンライクにアイコンが整列。主要なアプリはあらかじめインストールされておりすぐに利用可能な状態となっています。
アプリの中で最も目を引くのは「ブラウザ」。Firefox OSだけに当然Firefoxが搭載されています。
さすがにリモコンだでけでの操作は面倒なので別途キーボードを用意することをお薦めしますが、レイアウトの崩れもなく動作も比較的スムーズでさすがはFirefoxといった感じ。これまでにも各社からブラウザを搭載したテレビがリリースされてきましたが、いずれも実用には程遠く全く使い物にならなかったのでオープンOS採用でようやくまともなレベルになった感じ。
番組表はリモコンのボタンから直接起動できるほか、アプリ一覧からも遷移可能。
こちらはあまり代わり映えしませんね。
VODサービスに関してはNETFLIX、アクトビラ、Hulu、ひかりTV、楽天SHOWTIME、DMM.com、U-NEXT…と盛りだくさんに対応アプリが用意されていますが、個人的に一番嬉しいのは「Amazonビデオ」にも対応している点。
専用アプリをアプリ・マーケットからインストールしてAmazon.co.jpのアカウントを入力するだけ。Amazonプライムに加入していれば充実した無料のプライム・ビデオを楽しむことが出来ます。試しにこの専用アプリを利用した場合とスマホからテレビに繋いだNexus Playerに画面キャストした場合とで画質を比較してみましたが、専用アプリを利用した方が圧倒的に綺麗でしたので対応テレビを利用しているAmazon利用者の方が利用しない手はありません。
なお、「アプリ・マーケット」は既存の「ビエラ・コネクト」のリネーム品に過ぎず、目新しいアプリといえば先述の「Amazonビデオ」くらい。従来よりサードパーティーによるアプリの公開が認められておらず、Panasonicのお仕着せの機能しか利用出来ない状態が続いており現状では「スマートTV」と呼ぶには何か物足りない印象が拭えません。今後「Firefox Marketplace」への対応が計画されているようなので、そうなれば海外向けVIERAに搭載されているTuneInも日本で利用可能になるのではないかと密かに期待しています。
対応メディアフォーマットの充実
ホーム画面より接続機器一覧に遷移すると本体に備えられたHDMI等の外部接続ポートのほか、ネットワーク上のDLNA機器、共有設定されたフォルダが自動列挙。
これは4K対応VODサービスの拡大に備え搭載されたH.265/HEVCデコーダーとFirefox OSの採用でハード・ソフトの両面で自由度が増したようで再生可能なメディアフォーマットが大幅に強化されたことに伴う措置だと思われます。
対応する動画・音声のフォーマットは以下の通り。
CX800 で再生出来る動画(ビデオ映像)のフォーマット |
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● AVCHD形式 (.mts) ビデオコーデック: H.264 オーディオコーデック: Dolby Digital ● MP4形式 (.f4v、.m4v、.mp4) ● MKV形式 (.mkv) ● FLV形式 (.flv) ● 3GPP形式 (.3gp、.3g2) ● PS形式 (.mod、.mpg、.mpeg、.vob、.vro) ● TS形式 (.mts、.m2ts、.tp、.trp、.ts、.tts) ● WebM形式 (.webm) |
CX800 で再生出来る音楽のフォーマット |
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● MP3形式 (.mp3) ● M4A形式(AAC、Apple Lossless) (.m4a) ● FLAC形式 (.flac) ● WAV形式(LPCM) (.wav) |
Panasonicはオープンフォーマットへの対応にこれまで消極的でしたのでこのような情報を公開してきたこと自体に驚かされますが、この辺りの機能はこれまで他社に大きく遅れをとっていたのでMozillaとのタッグで挽回を図ろうとしているのかもしれません。
従来のVIERAはAVCHDと一部のmpegファイルくらいしか対応しておらず、「MP4やMP3などもってのほか」といった感じだったのでPCで編集した動画をテレビで見るにはいちいちエンコードし直す必要があり大変面倒でしたが、これだけ対応していれば連携が随分楽になりそうです。
最後に
国内家電メーカーにあってとりわけ保守的な姿勢を貫いているPanasonicらしからぬ印象を感じさせる2015年モデルの4Kテレビ「CX800」。
発売当初から指摘されている画面四隅の暗さや、グレアパネルゆえの写り込みの激しさ、かつてのIPSαに比べ視野角が狭い現行IPSパネル(LG製?)など今後の改善点が多いことは否めませんが、現行普及価格帯の4K液晶としてはベストな選択肢であることは間違いないでしょう。
まだサラっとしか触れていないため全体を把握しきれてはいませんが、カタログに記載のない機能や変更点も多く存在するようなのでこれからじっくり弄ってみようと思います。