昨日『Windows Vista』の一般販売が開始されました。マイクロソフトは「Windows 95 以来の革新」ということで大々的なマーケティングを仕掛けており、PC各社からもVistaを標準搭載したモデルが続々とアナウンスされています。しかし、Vistaが「Longhorn」というコードネームで呼ばれていた頃からMSDNを通じてこのOSに触れてきたわたしとしては、こうした市場の盛り上がりを(昨日はさほど盛り上がっていなかったようですが)冷めた目で見ざるを得ません。
Vistaリリースまでの経緯とマイクロソフトの過去の戦略を知っている人に「このOSが本当に”革新”か?」と問えば、その多くが「いいえ」と答えることでしょう。2001年末にリリースされてから5年もの歳月を経た『Windows XP』が広く行き渡ったため、マイクロソフトが新たなOS投入による収益源の確保を急いでいたのは明白で、当初予定していた機能の多くを削ってまでリリースを急いだのですから、その内容を見る限り『Windows XP』のマイナーチェンジ版と言うほかありません。
今回一番の目玉となっている新しいユーザーインターフェース「Aero」にしても、API等のバージョンアップをすれば『Windows XP』上で動かすことも可能でしょうし、そもそも本来のOSとしての本分から外れたことばかり誇らしげに宣伝してどーすんねんっ!とツッコミを入れたくもなってしまいます。おまけに、こうした機能の為にハードウェアに求められる必要スペックもOSらしからぬものになってしまっていて、現在XPが動いている一般的なPCの多くがインストールすらできないような状態。ライトユーザーにしてみれば、実質パソコン本体ごとの買い替えが前提とされているようなもので、これではとても周囲に推薦する気にはなれません。
しかし、そういうわたし自身も夏頃に自宅用にVista搭載のノートPCの購入を予定しているように、例えパッケージ版が売れなくてもパソコン買い替え需要とともにVistaは着実にシェアを拡大していくことでしょう。そのときにユーザーや市場がVistaに対してどのような評価を下すのかを今は見守りたいと思います。