最近まで使用していた『Adobe Master Collection CS5.5』はリリースから9年が経過し、アップデートの提供はとっくに終了しているうえ高DPIな環境で使用すると時折変な動きをしてたのでやむなく『Adobe Creative Cloud』(以下、Adobe CC)にアップグレードしたのですが、皆さんご存じの通り同スイートの使用には月額ナンボのサブスクリプション契約が強いられます。
旧Master Collectionに該当するコンプリートプランで契約すると月額負担は税込で6,000円を超えるため、5~6年おきにアップグレード版を渡り歩くことで節約を図ってきたわたしのような個人クリエイターからするといくらなんでも維持費がかかりすぎ。(通信教育に加入するなどして抜け道的に安く契約する方法が無い訳ではありませんが、必要経費と見なされなくなってしまうなどするため個人事業としてやってる人にとっては面倒くささに見合うだけのメリットがありません。)
「これが世に言うAdobe税というやつか…」と釈然としない気持ちを抱えたまま数か月Adobe CCを使っていたのですが、今回のコロナ禍に直近の案件をじっくり見つめなおしてみたところ「Adobe製品に拘る理由ってあったのかな?」というそもそも論に帰着。昔のように機能や使い勝手の面で代替しうるものが存在し無いという時代でもありませんし、最近はIllustratorのaiファイル形式での納品が一般的なロゴやテンプレートの制作も割に合わず手を引いているのでよほどのことが無い限りAdobe以外の製品で事足りると判断。
代替アプリの選定にあたってはクリエイター仲間の先行事例を参考にしながら試用を重ね、最終的にAffinityスイートとDaVinci Resolveを導入することにしました。
AffinityスイートとDaVinci Resolve
PhtoshopやIllustratorで作成・使用していたファイルやプラグインがそのまま利用出来ることに加え、UIや用語に若干の違いはあれどAdobe製品の使用経験者であれば感覚で操作できるほどの親和性も備えていることから脱Adobeを図ったクリエイターの移行先の本命と目されている英国Serif社のAffinityスイート。
こちらは写真編集ソフト『Affinity Photo』。(『Photoshop』の代替)
ベクターグラフィックスソフトウェア『Affinity Designer』。(『Illustrator』の代替)
そしてDTPソフト『Affinity Publisher』。(『InDesign』の代替)
後発の利を活かし競合の良いところは積極的に取り入れながら進化を続け、機能面でも時にAdobeを超えたとまで思わせる充実ぶりを見せてくれます。場当たり的に機能追加を重ねてきたAdobeの製品と違って設計からして無駄が少なく、容量もコンパクトで動作速度でも本家を圧倒するうえ各アプリ間の連携もスムーズで驚かされることばかり。
ブランド信仰の強い国内ではAffinityの知名度は高くありませんが、海外では「Photoshopキラー」「Illustratorキラー」として知られプロアマ問わずシェアが急拡大しているのも納得です。
Illustrator代替となる高機能なベクタードローツールとしては『Sketch』などの有力なライバルも存在しますし、Affinityシリーズの中でリリースから最も日の浅いPublisherは使い勝手の面でもう一息といった印象が無くもないのですが、アプリ間の連携の利便性の高さや将来性まで考えるとAffinityに一日の長があると感じ3製品の一括導入を決めた次第。
価格は将来のアップグレードにも対応した永続ライセンスがそれぞれ6,100円。これだけでも十分驚きですが、今ならコロナ禍のクリエイター支援として半額に設定されているので3本揃えても10,000円に満たない衝撃のプライス…マジで神。
Adobe税に疑問を感じながらも渋々契約を続けている方が居らっしゃるのであれば、サブスクを1~2か月だけでも休止して浮いたお金でAffinityを購入してじっくりお試し頂きたいものです。
それから…こちらはどーでもいいっちゃどーでもいいのですが、Premiere Proの代替として動画編集ソフト『DaVinci Resolve』を導入。
動画編集といってもファミリービデオの不要なシーンをカットして繋ぎ直してmp4形式でエクスポートするくらいのことしかしておらず、Premiere Proもほとんど使いきれていませんでしたのでDaVinci Resolveへの移行に何ら支障はありませんでした。無料版と有料の「Studio」が存在しますが、無料版でもPremiere Proに見劣りしないほど機能が充実しているので大抵のユーザは困ることはないでしょう。
まとめ
クリエイター向けのスイートは2005年にマクロメディアがAdobeに買収されてから長く一社独占が続いていますが、様々な選択肢が存在した方がクリエイターの発想も広がり自由な創作活動に繋がるでしょうし、ユーザーの裾野が広がって業界全体にとってハッピーなののでは?と思ったりもしています。
今は勢いのあるAffinityも安穏としていればすぐに埋もれてしまい兼ねない状況なだけに、少しづつとはいえ確実に減り続けているAdobeのシェアの受け皿としてまずはその地位をしっかり確率して頂きたいものです。