音楽CDの寿命に備える! CUE Ripper+PureRead対応ドライブでロスレスライブラリ化

インターネットを利用した音楽・映像配信サービスの拡大やデジタルデバイスの進化に伴い、光学メディアの終焉はもはや不可避な状況。

世界最大の市場を誇る米国でもCDやDVDは既に過去のものですし、主要なAV機器メーカーも対応機器の開発は打ち止め状態。デジタル化で立ち遅れている日本でもレコードやカセット、フロッピーディスクなどと同じ過去の遺物として認知されるようになるのは時間の問題と思われますが、このような潮流をさらに加速させかねないのが光学メディアの寿命に関する問題。

1982年に「耐久年数が長く半永久的に聞くことが出来る」という触れ込みで登場したCDでしたが、実際には経年による物理的変質が不可避。製造品質や保管状態によるものの、平均して30年ほどで寿命を迎えると言われています。今から30年前の1990年代前半と言えば、数多くのヒット曲が生まれたJ-POP全盛期でCDが広く普及した時期とも重なり、当時の想い出の作品達が今まさにその価値を失っていってる…と考えると恐ろしい限り。

我が家にも新旧2,000枚ほどのCDがありますが、暗所保管で湿度管理にも気を配っていたため今のところ問題は生じていないはず…。とはいえ、劣化の波は着実に迫っていて避けることが出来ませんし、そもそも5年後10年後にはCDを再生する環境そのものが身近に存在しなくなっている可能性も否定できません。

そこで、今のうちに手持ちの全CDをデジタルデータ化して資産の保全と将来への備えを図ることにしました。

ファイル形式とリッピング手段

CDをデジタルデータとしてライブラリ化するにあたり、ファイル形式はロスレスフォーマットであるFLAC(Free Lossless Audio Codec)以外に選択肢はないでしょう。FLACは情報損失を伴わない(=ロスレス)可逆圧縮技術のためMP3に見られるような音質劣化が無く、非圧縮のWAVファイルと比べファイルサイズも半分程度に節約できることからCDバックアップのみならずハイレゾ(Hi-Res)音源配信などでも用いられるスタンダードなフォーマットとなっています。

MP3と同様にアーティスト名や曲名などのタグ情報やアートワーク(ジャケット写真)を保持るうえ、1枚のCDを1つのファイルにまとめてFLAC化したうえでCUEシートと呼ばれる別添の付加情報を併用することで曲間のギャップといった情報まで原盤と同じ状態を担保することも可能。最近ではCUEシートの情報をFLACファイルの内部に保持することでファイル管理の利便性向上を図る「Internal cuesheet」(内部CUEシート)も少しづつ普及してきていることから、今回のリッピング(デジタルデータ化)作業にあたってはそれに対応する「CueRipper」を以下の設定で利用しています。

CueRipperの設定

オフセット値に関しては「30サンプルずれ問題」なんてものもあったりするのですが、ドライブの状態や個体差なんかも考慮すると単純に±30補正すれば良いなんてものでもないようで深みにハマってしまうこと請け合い。1枚のCDを1つのファイルにまとめてFLAC化しようという場合、影響はなおのこと無いに等しいので自動設定されるオフセット値のままで問題はないでしょう。

ドライブにはPureRead 3+対応のパイオニア『ポータブルBDドライブ BDR-XD07BK』を使用。リッピングの正確性に万全を期すためPureReadの設定は「パーフェクトモード」にしています。

音楽CDには製造品質や経年劣化、盤面の傷などに起因する異常に備えたエラー訂正システム(CIRC)が備わっていますが、それでカバーしきれない場合は前後のデータなどから当該部分を推定して”データ補間”を行っています。PureRead対応ドライブをパーフェクトモードで駆動させると原盤との相違やノイズの原因ともなりうるデータ補間が発生する際にその場で読み込みを停止します。

音楽CDにおけるデータ補間の発生はそれほど珍しいものではなく開封直後のまっさらメディアでも発生しうるものなので、パーフェクトモードに設定していると高頻度でリッピングが中断されますが、複数の読み込みアルゴリズムを持つPureReadの頑張りに期待して何度が再読み込みを繰り返せば(よほど状態が悪くない限り)ビットパーフェクトなデータを吸い出すことが可能です。

正確性を追求すればするだけ時間と手間はかかりますが最初から万全を期した方が精神衛生上も宜しいですし、後から問題が発覚して「あの時ちゃんとしておけば…」と後悔もしなくて済むと思います。

アートワークの入手

FLACファイルにはアートワーク(=ジャケット写真)を埋め込むことが可能で、ファイル判別の一助となります。MP3と特段の違いはなく埋め込む画像のサイズにも制約などはありませが、容量と画質のバランスを考慮して1,000×1,000px程度の画像を付与するのが最近では一般的になっているようです。

CueRipperにもアートワークを自動取得する機能がありますが、iTunesでアートワークを自動取得する場合と同様に画像のサイズがバラバラだったり誤った画像を取得してくるケースも少なくなくあまり役に立たないので、一枚一枚Apple MusicやAmazon、Googleの画像検索などで対象作品のジャケ写を探すなどして、そこから拝借してきた画像を設定していくケースが大半だろうと思います。

Apple MusicやAmazonで任意の大きさ・品質の画像が見つからなかった場合、RecMusicを利用するのアリ。Apple Musicより良好な画質のデータを保持しているケースもあり、URL中の数字を変更することで任意の大きさの画像を取得することも出来たりします。

とはいえ、古い作品やマイナーなアーティストの作品はサブスク等のサービスに対応しておらず十分な品質の画像を入手することがそもそも困難なことも多いので、手持ちのCDジャケットを自分でスキャンする必要が出てきます。自宅にフラットベッドスキャナーを所有していれば話しは簡単ですが、無ければコンビニのマルチコピー機のスキャナ機能を利用するのも一手。

最近はスキャンした画像をUSBメモリに保存出来るほか、セブンイレブンの端末なら専用アプリを入れたスマホに転送して保存することも可能。わたしも先日セブンイレブンのマルチコピー機をを利用してみましたが、最高解像度の400dpiでスキャンすれば画質の面でも十分納得のいく仕上がり。一度に6枚くらいジャケットを並べてスキャン可能で1スキャン40円なのでコストも悪くありません。

また、Webで少し小さ目の画像しか入手出来なかった場合は、機械学習を駆使して画質の劣化を極力抑えつつ画像を拡大出来る「kakudaiAC」などのサービスを利用してサイズアップを図る手もあります。画像により得手不得手はあるようですが、600x600px程度の画像を2倍に拡大した後、任意の画像編集ツールで1,000×1,000pxに揃える程度なら十分なクオリティを維持したまま「画像ロンダリング」が可能です。

製造品質の違い?によるエラー傾向

これまでに1,000枚弱のリッピングを行い、幸いにして全数パーフェクトモードでのリッピングに成功しています。

中には製造から30年以上経過した古いメディアもあったりしますが、意外にすんなり読み込めたりして拍子抜けすることも少なくありません。傾向としてEMI/東芝EMIからリリースされた作品は比較的優秀なケースが多いように感じられます。

一方でエイベックスからリリースされてる作品は盤面に傷一つないにもかかわらずエラーが多発するケースが頻発。あと、海外でリリースされた5枚組とか10枚組とかのクラシックやジャズのBOXあたりも結構苦労させられることが多いですね…。

同じように見えるCDでも、レコード会社や製造時期、製造国などの違いによって品質に差があるのかもしれませんね。

バックアップは確実に

今回選択したFLACの内部CUEシートに対応するWindow用の主なアプリケーションは「foobar 2000」「TuneBrowser」「MusicBee」あたり。これ以外のアプリでも頭出しが出来ないだけで再生そのものに問題はないケースがほとんどだと思われますが、タグ情報の編集やアートワークの設定が可能で必用に応じて外部CUEシートの出力も可能な「foobar 2000」等のお世話になるケースは少なくないと思われます。

しかし、これらを用いてNASに保存するなどしたFLACファイルを直接参照しタグ編集しようという場合には注意が必要。編集中にネットワークが不安定になるなどした場合に、折角のFLACファイルが破損してしまうケースがあることを確認しています。

幸いバックアップを引き戻して事なきを得ましたが、大切なデジタル資産を保全するためにもバックアップは確実に!!

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