諸般の事情でピアノを辞めてから十余年が経過しあらためて演奏を楽しみたいという欲求が抑えきれなくなっていたことに加え、うちの子供も習い事を始める年齢になり嗜みとして音楽は多少かじっておいて欲しいという希望もありヤマハの電子ピアノ『Clavinova CLP-545』を購入しました。
注文しておいたのは昨年11月。ヤマハの直営店は閉店時間が早く仕事帰りに立ち寄ることが出来そうになかったので駅ビル内の島村楽器に何度も足を運んで弾き比べを行い、以前実家にあったアップライトピアノに近いキータッチと指なじみの良い木製鍵盤のこの機種を選択。実質20万円前後のクラビノーバで木製鍵盤を採用したのはこの製品が初らしく人気でメーカー在庫も無いため納品は2月になるかもと聞かされていたのですが、ヤマハがバックオーダーに応えるべく頑張って生産してくれたのか若干前倒しての納品となりました。
てっきり店頭に展示してあるあの形のままやって来るものと思っていたので「どうやって2階にあげるのかしらん?」と心配していたのですが、到着した荷物は複数に分けて分解・梱包されておりスムーズに搬入。ピアノ専門の運送業者さんによる作業だったこともあり組立も20分ほどで完了しました。
子供部屋に置いてもらっても良かったのですが、先日搬入した子供のベッドの向きや配置を未だ決めかねている状態なのでとりあえず主寝室の隅に設置してもらいました。
外観チェック
CLP-545には4色の本体カラーバリエーションが用意されていますが、今回選んだのはニューダークローズウッド。落ち着いた色合いとスッキリしたデザインで圧迫感がなく、家具と並べて置いても浮くことはなさそうです。
スライド式の蓋をあけると木製白鍵を採用した象牙調仕上げのNWX鍵盤がお目見え。鍵盤はやや重めでグランドピアノを意識した設定のようです。
樹脂製の鍵盤も以前に比べ随分良くなったと聞きますが、爪が当たった時に響くカチカチという安っぽい音と指触りには違和感が拭えなかったので木製鍵盤にこだわった次第。木製鍵盤といえば黒鍵まで木製にこだわったカワイという選択肢もあったのですが、実家で弾いていたピアノがヤマハ製でしたし、将来の修理・メンテナンスまで考えるとこちらが安心かな…と。
右端には電源スイッチとボリューム調整用のスライダー。
左端にはモノクロ液晶の下に各種操作ボタンが配されており、音色の変更や録音、デモ再生のほか細かな設定が行えます。
利用出来る音源はヤマハのフルコンサートグランドピアノ「CFX」のほか、ベーゼンドルファー(!!)などピアノだけで11種、その他エレピ、オルガン、ストリングス…など多岐に渡りますが、もう少しシンプルでも良かったんじゃないかと思わなくもありません。エレクトーンじゃないんだし。
これだけボタンがあると子供がどうしてもポチポチしちゃうので、下手に設定を弄られておかしなことにならないようチャイルドロックをかけておこうと思い取説に目を通したのですがその手の機能は備えていない模様。まぁ、訳の分からない状態に陥ったら初期化(ファクトリーリセット)すればいいんでしょうけど。
譜面立てには両サイドに譜面止めが備わっていてもの凄く便利!!演奏中に勝手にページがめくれてイライラすることがありません。これだけ便利な装備がどうしてアコースティックピアノに付いてないのか不思議でなりません。
本体下にはヘッドフォン端子が2つと外部音声入力用のAUX IN端子、無線LANアダプタやPC、外部MIDI機器との接続に用いるUSB端子。
2つのヘッドフォンを同時利用出来るのは少し遅い時間に子供の練習に付き添うようなシーンで重宝しそう。AUX IN端子には携帯音楽プレーヤーなどを繋ぎ、その音にあわせて演奏することを想定しているようです。
手の届きにくい奥の方にはMIDI(THRU,OUT,IN)端子とAUX OUT、それからペダルを接続するための専用端子。
最近ではMIDI機器の大半がUSB接続に切り替わっているため利用頻度の減った旧来のMIDI専用端子は奥に追いやられてしまったのでしょう。
付属の高低自在椅子は『BC-205』で本体色にあわせた色のものが添付されています。
お世辞にも高級感はありませんが、適度な弾力とクッション性で今のところ座り心地は悪くありません。ただ、脚の裏のクッション材が申し訳程度しかなく床の上を引きずるとフローリングに傷がつきそうだったので、余っていた椅子用脚カバーを装着したらいい感じになりました。
その他主な付属品は取扱説明書、保証書、ユーザー登録の案内、ヘッドフォン、それから「ピアノで弾く名曲50選」なる楽譜集。
楽譜集はブルグミュラーからS.ジョップリンまでバラエティに富んだ選曲。本体にプリセットされているピアノデモと同じ楽曲が掲載されているのでデモ演奏をお手本にしながら練習するこのとが可能です。
それから…こちらは購入特典の鍵盤デザイン限定USBメモリー。
USB 3.0対応で容量は8GB。ヤマハミュージックデータショップで使える1,200円分のクーポン発行コードも封入されています。製品ユーザー登録とアンケートで別途付与される500円分のポイントとあわせ1,700円分が最初に付与される形となるのでMIDIデータの購入に利用させて頂きたいと思います。
より本物らしくなった電子ピアノ
さっそくあれこれ弾いてみましたが、これまで電子ピアノに対して抱いていたイメージを塗り替えるリアルな音と定位性に感動しきり。時任三郎が「クラビノーバを買いました♪」なんて唄ってた頃の商品とはまったくの別物で、ここまでくるともう立派な「ピアノ」です。
キータッチに関しても下手なアップライトピアノよりピアノらしい印象。アコースティックピアノであればスコンと抜けてしまうような雑な弾き方をしても電子ピアノならそれなりの音が出てしまうという構造上の違いは如何ともし難いのですが、日頃からきちんとした弾き方を心がけておけばそれほど問題ならないんじゃないかと思います。
また、ヘッドフォンの利用に関しても特筆しておかなくてはいけません。遅い時間であってもご近所に迷惑をかけることなく好きなだけ練習できるのが電子ピアノの大きなメリットでもあるわけですが、「ステレオフォニックオプティマイザー」機能がヘッドフォンを通した音を聞いてるにもかかわらずピアノ本体から音が鳴っているかのようなリアルな音像を再現してくれるため聞き疲れすることなく演奏を楽しめると思います。ただし、付属のヘッドフォンは作りがチープで長時間の着用には適していないので、別途きちんとしたヘッドフォンを用意することをオススメします。
最近は住宅事情などからピアノを所有する世帯が激減しているそうですが、最近では比較的リーズナブルな価格帯の電子ピアノも数多くリリースされているのでこれらを活用しない手はありません。上手い下手は別にして想像力や感受性、記憶力を育む情操教育手段としてピアノ演奏の右に出るツールはないと思うので、子供に音楽に触れさせるきっかけ作りであったり趣味として演奏を楽しむための大人の玩具(変な意味でなく…汗)として手元に一台置いておくメリットは大きいと思いますよ!
ラバースイッチ交換(2023-05-13)
1~2年ほど前からいくつかの鍵盤で強弱を無視した大きな音が出ることが稀に発生するように。
おや?と思いすぐにその音を弾きなおしても再現せず忘れた頃に再発するような状況だったのでしばらく様子見を見ながら使っていましたが、だんだん頻度が多くなってきたのでヤマハに修理を依頼しました。
修理に来られたサポートの方の話によると、鍵盤裏に設置されたラバー部品の劣化が原因らしくこの時期に発売された機種で多発しているトラブルとのこと。ヤマハの方で対策部品(VFX41700『PCB RUBBER NW AEX』)を用意しているとのことでそちらに交換してもらい対応完了。作業時間は小一時間、保証期間はとっくに過ぎてますが改善措置ということで今回は無償対応でした。
電子ピアノに限りませんが、ヤマハの製品は多少割高ですがサポートがしっかりしてて助かります!