仕事の傍ら「Prime ビデオ」や「Abema TV」を見たり音楽を聴いたりするのに『Fire タブレット (2015)』を1年余り使ってきましたが、画面の小ささや貧相なモノラルサウンドに不満を感じるようになったのでHUAWEI(ファーウェイ)の最新10インチタブレット『MediaPad M3 Lite 10』を購入しました。
自分の用途的にハイスペックな仕様は必要ないので価格重視でAmazon.co.jpの『Fire HD 8 (2017)』かHUAWEIの下位モデル『MediaPad T3 10』との二択で悩んでいたのですが、前者はインチアップを図るにしては微妙な大きさだし後者は画面サイズの割に解像度が…などと思い悩んだ末に当該機種に落ち着きました。
圧倒的なコストパフォーマンスがウリのHUAWEIらしく、3万円を切る実売価格にしてメタルボディの高品位な質感。スペックも32GBのストレージに3GBのRAMを搭載し、指紋認証センサーやHarman/Kardonによるチューンが施された4スピーカーも備えるなど性能面に抜かりはありません。
あいにく日本市場での知名度がいまひとつなHUAWEIだけにユーザーレビューもあまり見当たらない(提灯記事は沢山あったけど…)ようなので、購入を検討されている方のために軽くインプレッションを記しておくことにします。
開封の儀
白地の箱にゴールドで商品名が刻印されたシンプルなパッケージ。
シュリンクを剥いで上蓋をあけると乳白色のビニールに覆われた本体がお目見え。
ビニールを剥ぐとMediaPad M3 Lite 10が登場。
フロントビューは左上のロゴが余計な気もしますが、側面に施されたシルバーのフレームが良いアクセントとなって精悍で引き締まった雰囲気を醸し出しています。
液晶表面には何かしらコーティングが施されているのか指紋はあまり目立ちせんが、ゴリラガラスってわけでもなさそうなので傷が心配な方は液晶保護フィルムを貼っておいた方が良いかもしれません。
中央下部には指紋認証センサー。登録した指先で触れるだけでロックが解除されるというものでNexusシリーズでもお馴染み。一度これに馴れてしまうとPINコードやロックパターンなんて面倒でやってられませんし、なによりセキュリティ面でも万全です。
筐体背面は高級感のある金属製でサラりとした手触り。シルバー(仕様上は「スペースグレー」)の落ち着いた風合いはビジネスシーンにも最適です。
側面の上下両端4箇所に配された小さな穴はスピーカー。テーブルの上に端末を置いてもスピーカーが塞がれず音が籠もる心配が無いのは助かります。
物理的なスイッチは電源とボリュームの2つ。
充電及びデータ通信用のコネクタはUSB Type-Cではなく今更感のあるMicro-USB B。コストや普及率を考慮した上での仕様でしょうが、個人的には減点ポイント。だってMicro-USBは早く一掃したいんだもの…。
microSDカードは別途用意する必要があり、専用トレイに載せてセット。最大128GBまでのmicroSDカードに対応しています。
各種コネクタやボタン、スイッチなどの位置関係を纏めておくとこんな感じ。
本体以外の付属品はUSB-ACアダプター、USBケーブル、microSD用トレーを取り出すためのイジェクトピン、それに説明書の4点。
USB-ACアダプターの出力は5V/2A。
手持ちのタブレットと見比べてみる
参考までに、手持ちのタブレットと並べてサイズ比較。左から順に7インチの『Fire タブレット (2015)』、8.9インチ『Nexus 9』、そして今回購入した10.1インチの『MediaPad M3 Lite 10』。
さすがに7インチ端末と比べると大きさが目につきますが、厚さはMediaPad M3 Lite 10が一番薄いです。
ちなみに、これらの端末のスペックを比べるとこんな感じ。
Fire タブレット(2015) | Nexus 9(LTEモデル) | MediaPad M3 Lite 10(Wifiモデル) | |
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発売日 | 2015年9月30日 | 2014年11月3日 | 2017年6月9日 |
製造業者 | Amazon | HTC | Huawei |
ディスプレイ | 7インチ IPS方式 1024 x 600 | 8.9インチ IPS方式 2048 x 1536 | 10.1インチ IPS方式 1920 x 1200 |
SoC | MediaTek MT8127B | NVIDIA Tegra K1 | Qualcomm Snapdragon 435 (MSM8940) |
CPU(SoC) | ARM Cortex-A7 (1.3GHz クアッドコア) | ARM Cortex A9 (2.3GHz デュアルコア) | ARM Cortex-A53 (1.4GHz オクタコア) |
RAM | 1 GB | 2 GB | 3 GB |
ストレージ | 8 GB or 16 GB | 16 GB or 32 GB | 32 GB |
OS | Fire OS 5.4 | Android 7.1 | Android 7.0 |
前面カメラ | 30万画素 | 160万画素 | 800万画素 |
背面カメラ | 200万画素 | 800万画素 | 800万画素 |
Wi-Fi | 802.11 b/g/n (2.4GHz) | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) |
Bluetooth | 4.0 LE | 4.1 | 4.1 |
外部ストレージ | MicroSD (最大 128 GB) | なし | MicroSD (最大 128 GB) |
指紋認証センサー | ― | ― | ○ |
加速度計 | ○ | ○ | ○ |
コンパス | ― | ― | ○ |
ジャイロスコープ | ― | ○ | ― |
光センサー | ― | ○ | ○ |
近接センサー | ― | ― | ― |
バッテリー容量 | 2,980 mAh | 6,700 mAh | 6,660 mAh |
サイズ | 191 x 115 x 10.6 mm | 228 x 153 x 7.9 mm | 240 x 173 x 7.1 mm |
重量 | 313 g | 436 g | 460 g |
Fire タブレットは別モノとして…スペック的にはNexus 9あたりといい勝負な感じなのかな。
使用感はいかほど?
さっそく電源を入れてセットアップ。
途中、天気予報サービスに於ける位置情報利用の承認や他端末からのデータ移行に関する確認など一部にHuawei独自のカスタマイズが見られるものの、基本的には素のAndroidに近く戸惑うことはありません。
ホーム画面は無駄なショートカットで埋め尽くされることなくすっきりとしたレイアウト。
フォルダ内のアプリも確認。
ビジネス用途を意識した「Microsoft Office Mobile」に加え、エンタメ的な要素として「AWA」や「Abema TV」がプリインストールされていますがこれらのサードパーティー製アプリは自由にアンインストールすることが出来るのでご安心を。
なお、以前のEmotion UIのホーム画面にはアプリの一覧を表示するドロワーが存在しませんでしたが、さすがに不評だったのでしょう。現在は設定変更でドロワー表示が可能になっています。
こうしてみるとGoogleの純正ホームアプリと大差がないように見えますね。
Androidのバージョンは7.0。Nexus/Pixel端末ユーザーからすると7.1へのアップデート提供が未だ行われていない点にやや不満を感じなくもありませんが、メーカー端末の場合カスタマイズや検証も必要でしょうから少しばかり時間がかかるのでしょう。
初期状態で20G以上の空き容量があるのでそうそう困ることもなさそうです。
ディスプレイは明るく発色も良好。Nexus 9には及ばないものの表示の精細さにも文句はありません。
小さな文字の判読にも不満は感じません。動きの早い動画を見ても残像感は気にならず、タッチの反応も良好です。
同機がウリにしているサウンドに関しては大音量にしても割れたりビビったりすることはなく素性は良さげ。若干音が軽すぎる気がしなくもありませんが、詳細はエージングが進んだ段階であらためて。
ベンチマークを実施してみた
この記事をアップする直前、PC Watchに同端末の下位モデルにあたる『MediaPad T3 10』のレビューが掲載されているのを発見。その中にベンチマーク結果が掲載されていたので比較・参考のためMediaPad M3 Lite 10でも同様のテストを実施してみました。
まずはAnTuTu Benchmark v6.2.7。
続いてGoogleによるOctane 2.0。
Qualcomm Snapdragon 4xx系はエントリー向けSoCなのでハイエンド機と比べれば冴えない数値ですが、AnTuTuで30,000を超えていれば普段使いに於いて何ら支障はないと言われるレベル。海外のヘビーな3Dゲームなどに手を出さない限りどちらも問題になることはないでしょう。
総括
コスト重視のエントリーモデルながら、ウェブの閲覧や動画・音楽の再生が中心の普段使いな1台としてみれば十分すぎる出来。基本動作も軽快で普通に使っている限り何ら不満を覚えることはないでしょう。
薄型・軽量なので持ち歩きも苦になりませんし、家でしか使わないという場合にもプライバシー保護と利便性を両立させる指紋認証センサーの存在は極めて有用と思われます。
タブレットの市場規模が世界的に縮小し、メーカー各社が生き残りを欠けた価格・性能の二極化に走る中にあっては希少な「手頃な価格で普通に使える一台」。「迷ったらとりあえずコレを買っとけ」と自信を持ってお勧めできる一台です。
ノングレアな液晶保護フィルタで快適(2017-06-27)
ツルテカ液晶のままだと照明の反射や周囲の写り込みが酷く画面が見辛いであろうことは火を見るより明らかだったので、あらかじめ注文しておいたPDA工房の『防気泡・防指紋!反射低減保護フィルム』を貼ったところ凄く良い感じになりました。
液晶保護フィルムもこのサイズになるとさすがに位置合わせに苦労しますが、気泡や埃の侵入もなく綺麗に貼り付けることに成功。カメラや指紋認証センサーの切り欠き位置の精度も文句無しです。
ノングレア加工のおかげで反射や映り込みが抑制されるうえ、指通りもスムーズになりとっても良い感じです。
ソフトウェアアップデート(2017-09-22)
HUAWEI『MediaPad M3 Lite 10』にはじめてのソフトウェアアップデートが降ってきました。
公式リリースによると主な更新内容は「カメラの性能の最適化」と「Googleセキュリティパッチによる端末セキュリティの強化」の2点で、アップデート後のビルド番号は手元のWi-FiモデルでBAH-W09C229B003。
Androidのセキュリティパッチレベルは2017年8月付け。「BlueBorne」の脅威への対策が施されたのは2017年9月分からということなので、次回アップデートが提供されるまではBluetoothをOFFにしておいた方が良さそうです。実証コードが出回るのも時間の問題でしょうからね…。
BlueBorne問題に対応したソフトウェアアップデート(2017-12-27)
2017年11月のセキュリティパッチレベルに対応した2度目のソフトウェアアップデートが配信開始。
前回のアップデートでは「BlueBorne」問題への対応が間に合っていなかったので、今回の更新でようやく安心してBluetoothを利用できるようになります。