無線LANが故障しモバイル通信しか出来なくなり役目を終えた『Nexus 5』から『Nexus 5X』に買い替えて2年弱…今度は『Nexus 5X』にモバイル通信のみ機能しなくなるという逆パターンの障害が発生。
本体をリセットしたり他のSIMカードを挿してみたりするも電波強度は常に0。分解してアンテナ回りの接続を確認するも特に異常は見られないので、基板の実装に何かしら不具合が生じた様子。Nexus 5といいNexus 5XといいLGエレクトロニクスの製品はどうにも耐久性に課題がありそうです。
リフローすれば復旧しそうな気がしなくもありませんがどうせ一時凌ぎにしかならないでしょうし、Googleによる最新OS提供保証も終了してしまっていて修理したところで今後の展望が見込めないことから大人しく買い替えることにしました。
海外からNexusの後継にあたるPixelシリーズやまともなAndroid One端末を取り寄せることも頭を過りましたが、最近古い端末を軒並み処分してしまったため代替機として使えるものがなく商品が届くまでは電話も使えない状態で過ごすけにもいかないので、今回は繋ぎと割り切って即日入手が可能で価格も手頃な端末の中から選択することに。
Hueaweiの『P10 Lite』やMotorolaの『Moto G5s Plus』あたりも検討しましたが、スペックや使い勝手を十分に吟味した結果『Huawei Nova』(CAN-L12)に決定。価格は天神ビックカメラで28,790円(税抜)。週末特典としてSDカードや液晶保護フィルムまで貰えたのでなかなかお買い得でした。
Huaweiの端末は6月に買った10インチタブレット『MediaPad M3 Lite 10』に続き2台目。圧倒的なコストパフォーマンスが魅力の同社の端末ですが、Huawei Novaも見事期待に応えてくれるのかしらん…?
さっそくセットアップを終えて一通り触ってみたので、Nexus 5Xとの比較も交えて軽くレビューしておくことにします。
Huawei Novaのざっくりレビュー
パッケージは主張し過ぎないシンプルなデザイン。
下手にパッケージデザインに凝ろうとすると大体安っぽく見えるのでこれで正解でしょう。蓋を開けると中には端末本体と2つの内箱。
一方の内箱には充電用のACアダプタとUSB Type-Cケーブル、リモコン付きイヤフォン、SIMピン。もう一方には保証書と専用クリアカバーが収められています。
イヤフォンやカバーの品質はあくまでオマケレベルですが、別途お気に入りのものを購入予定でしたらそれまでの繋ぎにはなるでしょう。
今回入手したのは端末の本体色は「チタニウムグレー」。やや暗めのシルバーといったところでしょうか。
背面は『Nexus 6P』をそのまま5インチサイズにまで縮めたような意匠。ダイヤモンドカットが施されたメタルボディや指紋センサーの位置など共通点は少なくありません。Nexus 6Pの製造を担当していたのはHuaweiですから、そりゃ多少似通うところがあってもおかしくはありませんがここまでくるとわたしのようなNexusからの移行組を狙った確信犯としか思えません。これで前面にHuaweiのロゴさえなければ見た目は100点だったんですけどね…。(苦笑)
基本的なデザインはNexus 6Pを踏襲しているとはいえ、外縁にかけて緩やかに絞り込まれたシルエットは最近流行りに準拠。液晶面の端も角が落とされているので手にした際にゴツゴツ感がなく、実寸以上にコンパクトに感じられます。
ただ、本体がスリムになりすぎたがためにテーブルに伏せて置いた状態から本体を取り上げるのが難しくなったので、実用にあたっては何かしらカバーを装着して掴みやすくした方が良さそうです。
充電等に使用するポートはUSB Type-Cで、これもNovaを選んだポイントのひとつ。未だMicro-USB B端子を採用している端末も多く見かけますが、そこに未来はありません。
SIMトレイはこんな形状。デュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)に対応しており同時待ち受けが可能な優れ物ですが、2枚目のSIMカードとMicroSDカードは排他使用となるので注意が必要です。
続けてソフト側。端末を起動して初期セットアップを終えると、Android 7.0へのアップデートを含む複数のシステム更新が降ってきたので、以下それらを一通り適用した上での内容になります。
ホームアプリはHuawei独自のカスタムUI「Emotion UI(EMUI)」を採用しており、ホームに全てのアプリを並べるiPhoneライクなスタイルに加え素のAndroidに近いドロワー表示にも対応。
わたしは早々にドロワー表示に変更しておきました。
プリインストールされたアプリはキャリア端末に比べれば遥かに少ないものの、独自実装のカレンダーやギャラリー、連絡先が無効化出来ない点には若干の歯がゆさを覚えます。
あと、デフォルトの状態で気になったのはdp解像度。国内で取り扱われる端末の多くは文字や画像が大きめに表示されるよう360dpあたりの値が初期値となっているのですが、Androidのリファレンス環境に於けるデフォルト値は411dp。このため一部のアプリでレイアウトにズレが生じ違和感が半端なかったので411dpに変更して無事見慣れたサイズ感に。
dp値は[設定]-[開発者向けオプション]-[最小幅]にて調整が可能です。
パフォーマンスの確認
比較対象として適切か?という突っ込みはさておき、一応これまで愛用してきたNexus 5Xとのパフォーマンス差をチェックしておくことにします。まずは、本体スペックの違いを確認。
Nexus 5X | Huawei Nova | |
---|---|---|
国内発売日 | 2015年10月 | 2017年2月 |
製造業者 | LG | Huawei |
ディスプレイ | 5.2インチ IPS方式 1920 x 1080 | 5.0インチ IPS方式 1920 x 1080 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 808 (MSM8992) | Qualcomm Snapdragon 625 (MSM8953) |
CPU | Cortex-A57 (1.8GHz x2) + Cortex-A53 (1.4GHz x4) | Cortex-A53 (2.0GHz x8) |
GPU | Adreno 418 | Adreno 506 |
RAM | 2 GB | 3 GB |
ストレージ | 16 GB or 32 GB | 32 GB |
OS | Android 6.0 → 8.0 | Android 6.0 → 7.0 |
前面カメラ | 500万画素 | 800万画素 (F2.0) |
背面カメラ | 1,230万画素 | 1,200万画素 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) | 802.11 b/g/n (2.4GHz) |
Bluetooth | 4.2 | 4.1 LE |
外部ストレージ | なし | MicroSD (最大 128 GB) |
指紋認証センサー | ○ | ○ |
加速度計 | ○ | ○ |
コンパス | ○ | ○ |
ジャイロスコープ | ○ | ○ |
光センサー | ○ | ○ |
近接センサー | ○ | ○ |
バッテリー容量 | 2,700 mAh | 3,020 mAh |
サイズ | 147 x 72.6 x 7.9 mm | 141.2 x 69.1 x 7.1 mm |
重量 | 136 g | 146 g |
快適な動作に直結するRAMの量はNexus 5Xに対しNovaは5割増しで普段使う上でのストレスは少なくてすみそう。背面カメラの解像度はほぼ互角だし、センサー類も概ね必要になりそうなものは両者とも備えているので使い勝手が悪くなることはないでしょう。
OSのバージョンが1世代落ちなのと5GHz帯の無線LANに非対応なのがNovaのウィークポイントとなりますが、前者はNexusやPixel以外の端末に手を出した時点で諦めてますし、後者も海外製の無線LAN製品を扱う機会が多いことからチャネルの違いの大きい5GHz帯はもともとスマホで使ってないので問題なし。この辺は割り切りの問題でしょう。
CPUやGPUを含むSoC界隈はバリエーションが豊富で単純に数字の大小で性能を推し量れないことが多く実際に動かしてみないとなんとも言えん…ということで一応ベンチマークを実施。まずは定番のAntutu (バージョンは6.2.7)。
左がNexus 5Xで右がHuawei Nova。ゲームベンチとしての色合いが強いAntutuだけに3D性能で奮闘を見せたNexus 5Xがトータルスコアでも僅かに上回る結果に。ただ、ゲームといっても3Dをフルに活用するものはそれほど多くないのでCPUやRAMで勝ったNovaの方が使い勝手は良いのだろうと想像出来ます。
続けてGeekbench 4。
CPUの周波数だけで見えればNovaの圧勝かと思いましたが、シングルコアはまさかのNexus 5Xの勝利。とはいえ、マルチコアだとコア数に勝るNovaの圧勝でした。
2つのベンチマーク結果だけ見ると「どちらが上か?」と聞かれても「使い方に依る」としか答えようがない感じですが、オフィス系からゲームまで一通りアプリを動かしてみての実感としてはNovaの方が幾分優位。いくらGPUが強くてもそれを捌けるだけの基本性能がなくてはそこがボトルネックになりかねないのでバランスが大事なのでしょう。
カメラの画質は悲しくなるレベル
Huawei Novaのカメラの性能は事前に見たレビューで高評価だったのでかなり期待していた部分。
さっそく色々撮ってみましたが、日中屋外で撮った画像はたしかに悪くありません。しかし、少しでもズームしようものならノイズが凄いことになります…。スマホは光学ズームなので致し方ない部分もありますが、ここまで酷くなるようならいっそファームウェアレベルでズーム不可にして欲しいくらい。
あと、さきほどのノイズの問題とも絡むのかもしれませんが、画像処理エンジンがそもそもお粗末。少し暗めの場所で撮影したりすると、暗所ノイズを目立たなくしようとしているのか?相当ノッペリとした画に仕上がってしまいます。
シャッターラグはNexus 5Xより短いのでタイミングを大きく逸する機会は少なくなりそうですが、Nexus 5Xの方が画的には遥かに良かったな…。
総評
Nexusから中華スマホへの乗換えには都落ち感が拭えず、正直そこまで期待はしていなかったのですがいやはやどうして。特に増大したRAMがあらゆる局面で有効に働いているようで操作上のストレスも大きく軽減しました。
また、Nexus 5Xでは通話が困難だった職場ビルの一画で快適に通話が出来るようになった点も驚き。対応するドコモの周波数帯は同じはずなので、アンテナ回りの実装が優れているのかもしれません。
「DTS Headphone X」対応で音質に優れる点も音楽好きとしては嬉しいポイント。イコライザーなどは備えておらず任意に設定出来る項目は限られてているものの、原音志向のバランスの良い音を再現してくれるので結構気にいっています。
バイブの振動が小さすぎて着信に気づき難いなどの細かな課題もありますが価格を考えれば出来すぎな商品だと思います。
この値段でこれだけの商品を出されたら、そりゃ日本メーカーは太刀打ち出来ないわなぁ…。
プレインストールアプリの無効化(2017-11-23)
プレインストールされたシステムアプリは[設定]-[アプリ]から無効化することは出来ませんが、PCから「adb shell pm uninstall -k –user 0」コマンドを叩くことで無効にすることが出来る模様。
adb shell pm list packages
上記コマンドで削除したいパッケージの名称を特定して下記のように実行。
adb shell pm uninstall -k –user 0 com.huawei.hwvplayer # ビデオ
adb shell pm uninstall -k –user 0 com.huawei.videoeditor # ビデオ編集ツール
adb shell pm uninstall -k –user 0 com.android.mediacenter # 音楽
adb shell pm uninstall -k –user 0 com.huawei.phoneservice # HiCare
adb shell pm uninstall -k –user 0 com.android.email # メール
adb shell pm uninstall -k –user 0 com.example.android.notepad # メモ帳
なお、「ギャラリー」は無効化するとEMUI上での壁紙の変更に支障が出るようなのでそのままにしておいた方が良さそうです。