2019年の6月から使っているMotorola製スマートフォン『moto g7 Plus』のセキュリティアップデートの提供が終了して脆弱な状態になってしまったことに加え、各種センサーの不調、バッテリーの膨張に起因する液晶の浮き上がり、端末使用中の異常な発熱などの末期症状が見られるようになってきたので大人しく買い替えることにしました。
Motorola製端末に搭載される「Motoアクション」が思いのほか便利だったので現行モデルの『moto g100』あたりも検討したのですが、g7 Plusと同様にセキュリティアップデートの提供がOEMに課された最低ラインである2年間しか保証されていないため、以前ほど頻繁にスマホを買い替えることもなくなった現状に於いては若干心許ない…。
そこで今回はスマートフォンのライフタイムを重視。最低でも3年間のアップデート提供が確約されているGoogle謹製端末の中から、最新のミッドレンジスマホ『Pixel 5a (5G)』をチョイスしました。
Googleのスマホと言えばNexusシリーズの歴代端末を愛用していた過去があるものの、後半リリースされた『Nexus 5』『Nexus 5X』などに品質面の問題が相次いだためしばらく距離を置いていたのですが、Pixelシリーズへの代替わりを経て多少なりとも改善が図られているであろうことに期待して4年ぶりの出戻りです。
開封の儀とファーストインプレッション
白を基調としたシンプルな『Pixel 5a (5G)』のパッケージ。
箱を開けるとすぐに本体がお目見え。
本体の下のスペースには18W出力対応の充電器(USB-C 電源アダプター)、USB Type-C to Type-C ケーブル(長さは約1m)、SIM取り出し用のピン、クイックスイッチアダプターにクイックスタートガイドといった付属品が納められています。
充電器に関しては、時代の流れもあり今後のPixelシリーズでは同梱されなくなるとのこと。
純正にコダワリある人にとってはある意味貴重な存在となるかも。
本体に注目。
インターフェースは右側面に電源ボタンとボリュームボタン。左側面の下方にSIMの挿入口が用意されています。
本体はアルミ製でカラーは「Mostly Black」1色のみの展開。写真では分かりにくいのですが、やや緑がかった濃いめのグレーといった彩りです。表面には上質な梨地加工が施されいて、滑りににくく指紋も目立ちにくくなっています。見た目に高級感は感じられませんが、機能美という視点で見れば十分合格点を与えられるデザインです。
なお、同端末はnanoSIM+eSIMのデュアルSIM仕様。
このためSIMトレーにはnanoSIMカード1枚分のスペースしかありません。これまでのPixelシリーズと同様にmicroSDカードには非対応です。
本体上部には3.5mmオーディオジャックを装備。
下部にはUSB Type-Cポートとステレオスピーカー兼マイク。
本体サイズは156.2mm(H) x 73.2mm(W) x 8.8mm(D)。4辺狭ベゼルの採用により6.34インチの大画面液晶を搭載していながらコンパクトに仕上がっており、手にした時に収まりよく感じます。
背面カメラは1,220万画素広角カメラと1,600万画素超広角カメラの2眼仕様で当然ながら光学手ブレ補正も搭載。
かねてより評価の高いPixelシリーズのカメラですが、この辺りの評価は後述。
前面カメラはパンチホール型で左上に実装。
ディスプレイにはOLED(有機EL)を採用しているためコントラストが高く発色も鮮やかです。
下記は初期セットアップと各種アップデートの適用を終えた直後のホーム画面とドロワー画面。
純Androidなだけあってシンプルで無駄のない画面構成となっています。
スペックとベンチマーク
Pixel 5a (5G)の仕様をおさらい。参考までに2年前のミッドレンジ機であるmoto g7 Plusの情報を併記しておきます。
moto g7 Plus | Pixel 5a (5G) | |
---|---|---|
国内発売日 | 2019年6月 | 2021年8月 |
ディスプレイ | 6.24インチ IPS 液晶 2,270×1,080 (403ppi) | 6.34インチ OLED 有機EL 2,400×1,080 (415ppi) |
SoC | Qualcomm Snapdragon 636 (SDM636) | Qualcomm Snapdragon 765G (SDM765G) |
CPU | オクタコア ・Kryo 260 Gold 1.8GHz x4 (Cortex-A73) ・Kryo 260 Silver 1.6GHz x4 (Cortex-A53) | オクタコア ・Kryo 475 Prime 2.4GHz x1 (Cortex-A76) ・Kryo 475 Gold 2.2GHz x1 (Cortex-A76) ・Kryo 475 Silver 1.8GHz x6 (Cortex-A55) |
GPU | Adreno 509 | Adreno 620 |
RAM | 4 GB | 6 GB |
ストレージ | 64 GB | 128 GB |
OS | Android 9.0 → 10.0 | Android 11.0 → 13.0 ? |
背面カメラ | ・1,600万画素 (f/1.7 1.2μm) ・500万画素 (深度測定用) | ・1,220万画素 (f/1.7 1.4μm) ・1,600万画素 (f/2.2 1.0μm) |
前面カメラ | 1,200万画素 (f/2.0 1.25μm) | 800万画素 (f/2.0 1.12μm) |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) |
Bluetooth | 5.0 (HD コーデック: AptX) | 5.0 LE (HD コーデック: AptX、AptX HD、LDAC、AAC) |
センサー | 指紋認証, 加速度計, ジャイロスコープ, コンパス, 近接センサー, 環境照度センサー | 指紋認証, 加速度計, ジャイロスコープ, コンパス, 近接センサー, 環境照度センサー、気圧計 |
バッテリー容量 | 3,000 mAh | 4,680 mAh |
インタフェース | USB Type-C, イヤホンマイクジャック, MicroSD (最大 512 GB) | USB Type-C, イヤホンマイクジャック |
対応周波数 | 2G: 850/900/1,800/1,900MHz 3G: B1/2/4/5/8/19 4G: B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28/38/40/41 | 2G: 850/900/1,800/1,900MHz 3G: B1/2/4/5/6/8/19 4G: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/46/48/66/71 5G: n1/3/5/7/8/28/40/77/78 |
サイズ | 157.0 x 75.3 x 8.27 mm | 156.2 x 73.2 x 8.8 mm |
重量 | 172 g | 183 g |
Snapdragon 636と765Gのチップ性能をベンチマーク結果で単純比較すると、後者の方がCPU・GPUともダブルスコアで優位。消費電力も少ないのでバッテリー持ちという実用性の面でも有利なようです。
ベンチマークはGeekbench 5.4.1にて実施。Single-Coreのスコアが571、Multi-Coreのスコアは1,325という結果に。
ミッドレンジ端末としては十分すぎる内容です。
レンズは多けりゃいいってもんじゃない
先述の通り、Pixel 5a (5G)の背面カメラは1220万画素広角カメラと1600万画素超広角カメラの2眼仕様となっています。
最近では3眼~4眼なんて端末も登場しておりそれらに比べれば大人しめの印象ですが、一眼レフ並みのレンズやセンサーを物理的に搭載出来ないスマホではカメラの画質向上をソフトウェアに頼る部分が大きくなります。そうした点においてGoogleの持つAIや機械学習の技術や知見が存分につぎ込まれたPixelシリーズの優位性は、単純にレンズを増やしただけの端末に比べ非常に大きいものになっています。
Pixel 5a (5G)には「.6x」「1x」「2x」と3つの画角が用意されていて「.6x」が超広角カメラ、「1x」が広角カメラによる画角。超解像技術により最大7倍までのデジタルズームに対応しています。(以下の作例はブログ掲載用に圧縮されていますので劣化がある点ご了承ください。)
まずは超広角(.6x)。
続いて広角(1x)。
こちらがズーム(2x)。
ズーム(2x)は内部的に広角(1x)の画像を切り出して引き延ばしたものなので通常であればノイズや画質の粗が目立ってしまうところですが、ディテール・解像感とも不満なく一見デジタルズームで撮影されたものとは気づけないレベル。5倍、7倍と倍率を上げればさすがに劣化が目に付くようになりますが、3倍くらいまでなら特に不満を感じることはないでしょう。
また、Pixelシリーズは夜間撮影に強いのも特徴。
シャッタースピードが遅すぎてブレブレになったり、感度を上げたら上げたで暗所ノイズだらけで使い物にならなくなりそうなシチュエーションで苦も無くクオリティの高い写真が撮れてしまうのには驚きました。
現時点で5Gの真価は図りかねる
Pixel 5a (5G)はその名が指し示す通り次世代通信規格「5G」に対応しているのでその実力を…と行きたいところですが、ドコモの回線(ahamoやMVNOを含む)と組み合わせて利用する際には注意が必要です。
ドコモの5Gはn78(3.7GHz帯)/n79(4.5GHz帯)という2つの周波数帯(バンド)を使用しているのですが、これらの周波数帯の組合わせでサービスを展開しているキャリアが世界的に見て珍しいせいか、Pixelを含む国内向けSIMフリー端末の多くがn78のみのサポートに留まりn79側は非対応といった状況。それに加えドコモの5G網はn79をベースに構築されており、n78はあくまで部分補完的な位置づけで利用されているに過ぎないことからドコモが謳う5Gエリア内であっても5Gでは接続できないケースがほとんど。その恩恵を受けられるシチュエーションはかなり限定されます。
キャリアによる5G網の最適化の遅れも問題。折角5Gの電波を掴んでも4G/4G+との兼ね合いでパケ詰まりが生じてデータ通信が出来なくなってしまったり、十分なスピードが出ないといったケースが多数報告されています。こちらでも実際に試してみましたが、安定して5Gに繋がる場所でも期待するほどの速度が出ないケースがほとんどでした。
福岡にしろ東京にしろ5Gの拡大整備はまだまだ途上なのでインフラの増強や最適化が進み次第、改めて検証出来ればと思います。
おすすめのサードパーティ製アクセサリ
スマートフォンの買い替えにあたって新しいケースと液晶保護フィルムは欠かせない…ということでサードパーティ製のTPUケース『Spigen リキッド・エアー (ACS02907)』と『PDA工房 9H高硬度 光沢フィルム』も併せて調達しておきました。
Googleからも純正の専用ケースがリリースされてますが、最近指先が乾燥気味で手を滑らせてスマホを落下させてしまうことが多いのでどうせなら滑りにくく耐衝撃性の高いケースの方が安心…ということでSpigen製を選択。
背面全体に施されたプリズムパターンは見た目にもなかなかお洒落。ケースの色は黒のみですが決してゴツ過ぎはしませんし、ビジネスシーンでも違和感なく手元に置いておけそうです。
保護フィルムはシンプルなPET製をチョイス。今回購入した物は9Hと高硬度な製品なので少々のことで傷んだりする恐れはありません。
最近は安価な中華製品の選択肢が豊富なガラス製のものが人気のようですが安物はタッチパネルの感度が悪くなりますし、それでなくとも割れた際に逆に液晶面を傷つけてしまうことも。「宗教的な理由でPET製フィルムは使えない」なんてことでもなければPET製フィルムの使用を推奨します。
まとめ
ハイエンドクラスのカメラに加え、有機ELディスプレイや5G対応、大容量バッテリー、IPX7準拠の防水性能など十二分なスペックを備えながら51,700円という無理のない価格におさめられた『Pixel 5a (5G)』。税込みで50,000円を切れなかった点が惜しむべき…といったところですが、それでなくともハイ・コスパ。
AIや機械学習を駆使したGoogleらしい一歩先行く機能が楽しめるうえ、年内にリリースが予定されているAndroid 12が早々に展開されるであろう点もPixelシリーズの大きなメリット。
ミッドレンジのスマホのベストバイは当面コレで間違いありません。
USBポートの不調により保証交換(2022-08-09)
春頃からUSB Type-Cポートの調子が悪く、充電中に何度も途切れては再開を繰り返すためずっとブルブル振動していたうえ、データ転送もまともに出来なくなっていたので保証が切れる前にサポートに連絡。
修理対応は困難らしくリファービッシュ品への交換対応ということになり本日新しい個体が到着。調子の悪い端末は初期化して返送しておきました。
新し端末には予備で購入しておいた液晶保護フィルム『ミヤビックス OverLay Brilliant』を貼付したところ視認性も向上。バッテリー持ちも大きく改善するなど、いいタイミングでの交換になりました。
先日リリースされたPixel 6aはメモリ量が5aと変わっておらずがっかり仕様だったので、新しくなった個体で来年の7aの登場を待つことにします。