後部座席に座る子供が長距離移動中に退屈しないよう、以前は『MediaPad M3 Lite 10』をリアモニター代わりにしてプライムビデオなどを視聴させていたのですが、microUSB採用機器の一掃に向けて昨年同端末をドナドナしてしまったので最近はわたしの2-in-1タブレット『IdeaPad Duet Chromebook』をリリーフ登板させていました。
しかし、Googleアカウントに紐づいたChromebookは個人情報がてんこ盛りで万が一車上荒らしにあって盗まれたりすると大ごとになるのは火を見るより明らかなので早めに別の端末を用意せねば…ということで、Amazon.co.jpの「新生活セール」で安くなっていたAmazonの10インチタブレット『Fire HD 10』(第9世代/2019年モデル)をポチりました。
この手のアイテムを車内で使用する場合、日光の反射で画面が見辛くなるケースも少なくないので、同じくセール対象だったエレコムの『Fire HD 10専用 反射防止フィルム (TB-KFH109FLAN)』も併せ買い。
Amazonのタブレットを入手するのは『Nexus 7(2012)』の後釜として2016年に購入した『Fire タブレット』(第5世代/2015年モデル)以来。同社のハードウェアはコスト重視で基本的にカツカツのスペックしか備えていないので「あれもこれも」と欲張った使い方をしようとすると肩透かしを喰いますが、プライムビデオなどAmazonが提供する様々なコンテンツの消化に割り切った使い方が出来るのであれば今も変わらずお買い得なアイテムだと思います。
Type-C採用のお得な10.1型タブレット
今現在『Fire 7』『Fire HD 8』『Fire HD 10』と3サイズ体制を展開するFireタブレットシリーズですが、約2年周期で新モデルを発売しているこれまでの経緯からして現在発売中のFire HD 10(第9世代/2019年モデル)はおそらくモデル末期。よって今更開梱の儀をするつもりはありませんが、備忘録を兼ねて記念写真だけ残しておくことにします。
タブレット本体以外にはUSB-ACアダプタ、USB Standard-A to Type-Cケーブルに保証書とスタートガイドが同梱されています。
電源及びボリュームのスイッチ、充電・通信用のUSB Type-Cポート、3.5mmオーディオジャックなどのインターフェースは上端に纏められ、microSDカードスロットのみ右側面に用意されています。
ツルテカ液晶アレルギーなのでさっそく反射防止フィルムを貼ったところ映り込みはだいぶマシになりました。
コスト重視の安価なガジェットの多くが未だmicroUSBポートの採用を続ける中、Fire HD 10はUSB Type-Cをいち早く採用。今時のスマホやノートPCはほとんどがType-Cに対応しているのでケーブルが一本化出来るのは大助かりです。
この辺りはボリュームメリットを活かせるAmazonの端末ならではの特徴と言えるでしょう。
今回初期セットアップの手順は省略しますが、無線LAN環境とAmazonのアカウントがあればあっという間に完了します。root化して云々…といったことも考えていないので、システムアップデートまでサクっと済ませて準備はOK。
カーナビとBluetooth接続してFire HD 10の音声が車載スピーカーから問題なく出力されることも確認出来ました。
テザリングでネット接続すれば自宅のテレビで録画した番組も楽しめるようPanasonicのMedia Accessも追加インストール。Media AccessはAmazonのアプリストアに存在しなかったので、Android端末からapkをぶっこ抜いてサイドロードで導入しましたが問題なく使用出来ています。
その他、子供が普段車の中で視聴している音楽ファイルやアニメのDVDもmicroSDカードを介してFire HD 10に集約。これにより後部座席で任意のコンテンツを選べるようになるので運転中にオーディオ操作を強いられることもなくなり、わたしも運転に集中出来そうです。
意外にあなどれない性能
Fire HD 10の購入にあたってちょっとだけ心配したのがRAMが2GBしか搭載されていない点。3GBを積んでいた『MediaPad M3 Lite 10』ですら多少もっさり感を感じていたので性能面であまり期待はしていなかったのですが、一通り触ってみた印象ではMediaPadよりも随分快適に感じられたので両者のスペックを比較してみました。
MediaPad M3 Lite 10(Wifiモデル) | Fire HD 10(第9世代/2019年モデル) | |
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発売日 | 2017年6月9日 | 2019年10月30日 |
製造業者 | Huawei | Amazon |
ディスプレイ | 10.1インチ IPS方式 1920 x 1200 | 10.1インチ IPS方式 1920 x 1200 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 435 (MSM8940) | MediaTek MT8183 |
CPU(SoC) | ARM Cortex-A53 (1.4GHz オクタコア) | ARM Cortex-A73 x4、A53 x4 (2.0GHz オクタコア) |
RAM | 3 GB | 2 GB |
ストレージ | 32 GB | 32/64 GB |
OS | Android 7.0 | Fire OS 7 |
前面カメラ | 800万画素 | 200万画素 |
背面カメラ | 800万画素 | 200万画素 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) |
Bluetooth | 4.1 | 4.2 LE |
外部ストレージ | MicroSD (最大 128 GB) | MicroSD (最大 512 GB) |
指紋認証センサー | ○ | ― |
加速度計 | ○ | ○ |
コンパス | ○ | ― |
ジャイロスコープ | ― | ― |
光センサー | ○ | ○ |
近接センサー | ○ | ― |
バッテリー容量 | 6,660 mAh | 6,300 mAh |
サイズ | 240 x 173 x 7.1 mm | 262 x 159 x 9.8 mm |
重量 | 460 g | 504 g |
カメラの画素数や搭載するセンサー、プラスチック主体で厚めの外装だけ見ればまさに”値段なり”ですが、何故かCPUだけ最新のミドルレンジスマホ相当のスペック。これなら快適に感じるのも当然です。
ゲームをプレイしたりマルチタスクであれこれやろうとするとRAMの少なさが足を引っ張る可能性はあるものの、普通の使い方なら何の支障もなく扱えるはずです。(デフォルトではGoogle Play関連が使えずアプリが制限されるのが唯一の支障?)
参考までにOctane 2.0にかけてみたところ結果は8,986。
MediaPad M3 Lite 10は3,296程度だったので、倍以上のスコアをマークしていることになります。IdeaPad Duetと比べても1,000くらいしか変わりません…(汗)。
microSDカードは外部ストレージとして使うのが正解
今回購入したFire HD 10のストレージは32GB。OSなどのシステム領域を差し引いても25GB以上はユーザー領域として自由に使えるので、オフライン視聴用にPrimeビデオを多めにダウンロードしておいたところで容量不足に陥るような心配は基本不要です。
ただし、自宅のNASに貯め込んでおいたmp4形式の動画ファイルやFLAC、mp3の音楽ファイルなどを大量に入れて持ち出そうとすると、本体容量だけでは心許なくなってしまうことも考えられるので別途microSDカードを購入しておきました。
用意したのは鉄板のサンディスク製。容量128GBのmicroSDカードが2,000円以下で買えるなんて素晴らし過ぎます。
参考までに自宅のPavilion Gaming 15のSDカードスロットを介してCrystalDiskMarkにかけてみたところスコアは下記の通り。
悪くありません。
Fire HD 10にmicroSDカードをセットすると同端末内でのみ使用出来る「タブレットのストレージ」(≒内部ストレージ)としてフォーマットするか、一般的な「外部ストレージ」としてフォーマットするかを尋ねられますがここでは「外部ストレージ」を選ぶのが正解。
外部ストレージ化しておけばPCとFireタブレットをUSB接続して任意のファイルをドラッグ&ドロップでmicroSDにコピー出来るうえ、将来タブレットを買い替えた時もmicroSDカードを差し替えるだけで基本そのまま使用することが出来ます。
一方で「タブレットのストレージ」(≒内部ストレージ)化を選択してしまうとPCを介したファイル転送が出来なくなるうえ、Fireタブレットの調子が悪くなってファクトリーリセットしようという場合にmicroSDカードも再フォーマット(=全削除)が必用になります。「内部ストレージ化しておけばmicroSDカードにアプリ、データ、ビデオ、音楽、その他のコンテンツを保存出来る」という記述も見かけますが、Fire OSで使えるアプリなんてそもそも限られているうえ、Primeビデオにしても一度にダウンロードしておける数には上限(最大25本)があります。ダウンロードから48時間を過ぎると再認証が必要などといった制約もあったりするので内部ストレージ化のメリットなんて机上の空論に過ぎません。
外部ストレージとしてフォーマットを済ませたmicroSDカードに転送した動画や音楽ファイルの大半は純正メディアプレーヤーで再生可能。ただし、使い勝手はイマイチなので自炊コンテンツの消化にはアプリストアからインストール出来る「VLC for Fire」の使用がおススメ。
ただし、VLCもFLACのCUEシートには非対応なのでこれについては今後対応を検討します。
車載ホルダと干渉しないサードパーティ製ケース
今回購入したFire HD 10は表題通り車載リアモニターとしての利用を主たる目的としていますが、常時車に載せたままだと車上荒らしを誘引したり夏場は車内の高温で故障に至ったりする可能性が高いので基本的には自宅で保管するのが吉。外出先でも車を離れる際は取り外して持ち歩くよう心掛けるべきでしょう。
ただ、端末を車外で持ち歩く機会が増えると硬いアスファルトの上に落として破損…という新たな心配も生じるため、これに備えるべく『ATiC Fire HD 10 2019 ケース』なるサードパーティ製の専用ケースを手配しておきました。
Amazon.co.jpを埋め尽くす怪し気な中華ブランドによる製品のひとつですが、以前『Nexus 9』用に購入したケースが同ブランドの商品でそんなに悪くなかったのでこちらを選択した次第。
タブレットケースというと液晶面を覆うカバーがスタンド代わりもなる手帳型の商品が多いのですが、そのカバースタンドの存在が車載ホルダーへの取り付けを難しくすることがあるので今回は側面(縁)~背面のみを保護するケースをチョイスしています。
側面(縁)部分はTPUで背面は透明アクリルプレートで構成された同ケースはフィット感もバッチリで本体保護の役目はしっかり果たしてくれそう。TPU部は液晶面より1.5mmほど高く成型されていて、本体を伏せて置いても傷や汚れが付きにくくなっている点も嬉しい配慮です。
ちなみに、透明なアクリル越しにタブレット本体の背面を見せるデザインはiPad向けに販売されている同様の製品の意匠の丸パクり。
Fire HD 10の背面に施されたAmazonロゴをアピールされても「で?」としか言いようがないのですが、お気に召さなければお好みのカッティングシートでも貼ってカスタム可能…と考えれば悪くないのかも。
まとめ
販売台数の頭打ちによりAndroidタブレットの選択肢がほとんど無くなってきた中にあっても奮闘を続けるAmazonのFireタブレットシリーズ。
お値段なりと思われがちですが、この値段でこれだけの性能を発揮してくれれば十二分に合格点があげられます。格安端末の宿命ともいえる経年使用によるストレージ性能の低下だけが心配ですが、その影響が小さければ意外に長い付き合いになるかもしれません。